あなたがエンジェル投資に興味を持ったのは、何故だろうか?
「たくさんある資金を使って、若い企業を応援してみたい」
「ハイリターンがあるかもしれないから」
今存在する、多くのエンジェル投資家もまた同じような理由で始めている。
しかし、ただ投資をする資金を持っていればいいというわけでもない。
エンジェル投資に向いている人、エンジェル投資をする方法、エンジェル投資家は企業の何を見て投資するべきかを解説していく。
エンジェル投資家の現状
エンジェル投資家とは、実績や信用がなく、銀行から融資を受けられないようなベンチャー企業に対して、投資をおこなう個人投資家のことである。
第2回経済諮問会議によると、国内に存在するエンジェル投資家は約834人(2010年度)だという。
投資額は年間9,9億円程度(2011年度)。
対して、米国では29万8千人ほど(2013年度) エンジェル投資家がいるといわれ、その投資額は年間229億ドル(約2,7兆円)。
投資家数、投資額ともに差が激しく、エンジェル投資において日本は遅れているのが現状。
しかし、近年では、株式型クラウドファンディングというシステムが誕生し、少額の投資が可能になり、サラリーマンでも個人投資を考えられるようになってきた。
また「エンジェル税制」という、経済産業省による税制の優遇措置もおこなわれるようになり、今後、ますますエンジェル投資は広まっていくことが予想される。
エンジェル投資に向いている人
ジェイソン・カラカニス著書の『エンジェル投資家 リスクを大胆に取り巨額のリターンを得る人は何を見抜くのか』によると、エンジェル投資に向いている人は、4つの要件があるという。
①小切手を掛けられること
つまり、お金を持っていることである。余裕で投資をおこなえるほどの資金を意味している。
あなたが投資によるハイリターンを求めるのであれば、投資した会社は多くの人に知られる存在になり、10年以上、存続させていかなければならない。
10年以上続いたり、または名が知られるほどの企業を見つけるのは、とても難しいことである。
そのため、ほとんどのエンジェル投資家は投資による失敗を経験している。
「10のうち1成功すれば当たり」という世界。
1当たるまで失敗を受け入れられるほどの資金を持っていることが必要条件となる。
②創業者がさまざまな課題を解決するのを手助けできること
創業者を手助けできるほどの時間と手間を掛けられるかということである。
企業を成長させるためには、多くの時間を必要とし、その中でさまざまな課題に直面する。
この課題を一つひとつ解決していけるかどうかで、企業の寿命が決まる。
投資先の企業に長く続いてもらいたいのであれば、課題を解決する手助けをしなければならない。
手間を掛けられない、早くリターンが欲しいなどと急かしてしまう人は、エンジェル投資には向かない。
③創業者と投資家、顧客を仲立ちできること
人脈があるかどうかである。
ベンチャー企業が当たる壁のひとつは「人脈」である。
起業家が集まるイベントに参加するかもしれないが、より強い関係を作る必要がある場合は、イベントだけでは難しい。
だからこそ、エンジェル投資家に投資してもらうメリットのひとつとして、「エンジェル投資家によって人脈を作ることができること」が挙げられる。
④創業者がミスを犯して時間や金を無駄にすることを防げること
創業者のミスとは、間違った経営の仕方であったり、その業界に有効でない手段を使ったりすることである。
このミスに気付き、正しい方向にリードしてあげられるほどの経験や知識が求められる。
そして、何より大切なのは、人脈を作ることができる「人付き合いの能力」だという。
創業者に人脈を作ってあげる一方、投資家自身も人によって教えられることがある。
多くの人となりを見たり、ミーティングをたくさんすることによって、将来性のある起業家を見つける目を養うことができる。
エンジェル投資をする方法
実際にエンジェル投資をするには、どういった方法があるのかを紹介していく。
企業に直接投資する
多くは、ビジネスのつながりや起業家が集まるイベントに参加することで、投資したいと思う起業家に出会う。
しかし、広い人脈を持っていなければ、このようにして起業家と出会う機会は与えられない。
イベントも都内で開催されることが多く、地方で暮らす人はさらに難しくなる。
また、企業の見極め、交渉、契約までを個人でおこなわなければいけないため、資金力、人脈の他に知識やノウハウが必要になる。
最近ではSNSが発達し、起業家が投資を募集する場合もある。
しかし、投資家もまた信用が求められるものであり、断られたり、返信がない可能性もある。
結局は、実績があったり、有名な人物であったりしなければいけないので、ビギナーには難しい。
証券会社を通じて投資する
証券会社には、未上場のベンチャー企業などに投資ができる金融商品(ベンチャーファンド)を扱っているところがある。
証券会社を利用するメリットは、未上場のベンチャー企業へ少額から投資ができることだ。
さらに、株式と共通するところが多く、株式と同じような感覚で企業に投資したい人にはオススメしたい。
まず株式と同じ売買方法であり、営業時間中にリアルタイムで売買ができる。
また、信用取引も可能。
株式と同じ税制を適用しており、損益は一般の株式の譲渡損益のように損益通算することができる。
未公開株投資の専門家が投資方針に沿って運用するため、分散投資、専門家による運用というメリットもある。
ただ、損失を被る可能性があるため、ベンチャーファンドは慎重に選ばなければいけない。
株式型クラウドファンディングで投資する
株式型クラウドファンディングとは、多くの人から少額ずつ資金を集めるクラウドファンディングのシステムを利用して、ベンチャー企業の株式に少額投資をする仕組みである。
1社に対する投資額は50万円までというルールがある。
100万円以下の少額投資でも将来的にリターンを得られる可能性があることから、サラリーマンでも始めやすく、注目されている方法である。
株式型クラウドファンディングのデメリットは2つ。
1つ目は、株式型クラウドファンディングを通して取得した非上場企業の株式は、IPOやM&Aしない限り、自由に売ることができないことである。
売却しようとしても、譲渡制限があったり、株主総会の承認を受けるなど、多くの手続きを要する。
2つ目は、まだ日本では実績がなく、どのような結果になるかはわからないことだ。
アメリカやイギリスでは、投資型クラウドファンディングで資金調達後にM&Aされた企業もあるため、期待できないわけではない。
マッチングサイトを利用する
より手軽で、より簡単な方法がマッチングサイトである。
Web上で、エンジェル投資家と起業家を結びつけるサービスだ。
「資金調達をしたい人」や「ベンチャー企業に投資したい人」などが一覧で掲載されており、起業家たちのアイデアを気軽に見ることができるサイトもある。
そして、気に入ったアイデアをもつ起業家と直接やりとりができるというのもメリットだ。
エンジェル投資総研は起業家向けのサービスとなっているが、エンジェル投資家は投資条件などを掲示板に書いておけるので、こちらからアクションしなくても、希望に合った起業家が応募してくる仕組みになっている。
また、エンジェル投資家の登録料は無料である。
手間やお金が掛からず、気軽に始められるというメリットがあるため、ぜひ活用して欲しい。
エンジェル投資した企業が成功するには
最後に、エンジェル投資家は企業の何を見たらよいのかを解説する。
事業内容ももちろん重要だが、人はもっと重要である。
投資家に必要な能力のひとつに「人付き合い」とあったように、あなたがさまざまな人を見て、あなたなりの成功術を見つけることもよい。
ただ、それには多くの時間を必要とする。
そのため、ここではエンジェル投資を始める人に向けて、一例として良いとされる創業者(起業家)像について説明していく。
アイデアを生み出す力を持っている
企業が続いていくためには、常に同じスタンスでいるのは難しい。
また、問題を解決していくために、変化を求められることがあるだろう。
その時に何も浮かんでこないようではいけない。
問題を別の視点から考えられる視野の広さや革新的なアイデアを生み出す能力は、成功する起業家の要件である。
コミュニケーション能力が高い
ベンチャー起業家は、企業を広める活動をしなくてはいけない。
その時はコミュニケーション能力が必要になってくる。
また、人を雇う時や商品を売る時もコミュニケーションを要する。
起業家の仕事のほとんどはコミュニケーションに関わってくるため、コミュニケーション能力が高いことは必須である。
実行するまでが早い
アイデアを生み出した後、実行が早いかどうかも大切だ。
アイデアを試してみて、失敗したらすぐ次のアイデアを出し、すぐに試す。
成功者には、この繰り返しをもの凄い速さでおこなえる人が多い。
その人の下で働きたいと思える起業家であること
本当に有能な起業家は求心力がある。
人も集まれば、仕事も集まる。
「凄い」と尊敬され、「この人の下で働きたい」と思われる人であることはとても大切だ。
まとめ
エンジェル投資をする方法は、下記のような方法がある。
①直接投資
②証券会社を通しての投資
③株式型クラウドファンディング
④マッチングサイト
直接投資はビギナーには難しいため、証券会社や株式型クラウドファンディング、マッチングサイトなどを選ぼう。
ここでは④マッチングサイトをオススメする。
マッチングサイトは、自分の希望に合った投資案件を検索し、簡単に投資先を見つけることができる。
直接のやり取りが可能であるため、「成功する起業家」の要件が備わっている人物であるかどうかを直に確かめることも可能だ。
手軽さがありながら、企業の大事な部分(人)を早く確認できるのはとても大きなメリットだと思うので、ぜひ活用してみて欲しい。