エンジェル投資 失敗したら?

エンジェル投資とは、個人投資家が、資金調達が困難である企業に対して出資をおこなうことである。

銀行など金融機関のように「審査」が厳しいものではなく、個人投資家の判断によって投資されるため、比較的、投資をしてもらいやすいというメリットがある。

また「融資」と異なり、出資金を返すことが義務ではない。

しかし、エンジェル投資家に投資をしてもらって成功すればよいが、失敗したときはどうなるのだろうか? 

本当に出資金を返さなくてもよいのか?

再度、起業する際に、投資してもらえなくなるのだろうか?

失敗しないために気を付けるべきところは?

さまざまなことが不安になるだろう。

そのような不安を解消するために、失敗した後のこと、失敗しないためにするべきことを解説していく。

エンジェル投資してもらったけれど、失敗したら出資金はどうなる?

(投資家にとって無駄になったとはいえ)起業家は出資金を返還する義務はない。

融資のように借金にならないところもエンジェル投資が注目されている理由のひとつ。

エンジェル投資家の中には「事業が失敗した際は返還しなくてもよい」と口では言いながら、契約書には失敗した時に返還するよう記述している投資家も存在する。

その契約書にあなたが判子を押してしまったなら、後で後悔することになっても契約書通りに返還しなくてはいけない。

(契約書をしっかりチェックし)返還義務について書かれていなければ、投資されたお金については心配しなくてもよいだろう。

失敗したあとはどうなる?

一度事業に失敗したからといって、二度と投資をしてもらえないというわけではない。

エンジェル投資家の中には元起業家である経営者が多い。

その中には、過去にエンジェル投資を受けた恩を返すために、自身もエンジェル投資家になったという人もいる。

当然、彼等も失敗を重ねているため、失敗に対する理解はある。

そのリスクを考慮した上で、マーケットの拡大や技術の進歩を望み、出資している人もいる。

もちろん、寄付ではなく「投資」であるため、リターンを望まないわけではない。

ただ、エンジェル投資は「10失敗しても1成功すれば大成功」といわれている。

1成功するために10は失敗するかもしれないというリスクの中、「余裕資金」で投資がおこなわれていることが多い。

以上から、 一度事業に失敗したからといって、二度と投資をしてもらえないというわけではない。

再び投資家たちに投資したいと思われる事業計画書を作り、自分の事業に合った投資家を選び、 次こそ失敗しないよう対策を取るべきだ。

エンジェル投資してもらうときに気をつけること

エンジェル投資家について入念にリサーチする

エンジェル投資家の中には、起業家にすべて任せる投資家、起業家にアドバイスを求められたら応える程度の投資家、あるいは投資した事業を必ず成功させたいと強く思い、経営を管理しようとする投資家がいる。

経営に過干渉な投資家に投資してもらうことになると、起業家が考える事業計画の通りにいかなかったり、起業家の希望することが叶えられなかったりするなどして、トラブルに発展することがある。

この場合、契約を交わす前に、そのエンジェル投資家に対するリサーチが足りなかったことや交渉が足りなかったことが原因だ。

エンジェル投資をしてもらう前に、投資家について調べておくことは重要だ。

気をつけるべきエンジェル投資家の特徴

エンジェル投資家の多くは非常に良心的でエンジェル=天使のような存在だ。

しかし、一部ではあるが、エンジェルと呼ぶには疑わしい投資家も存在する。

1. 反社会的勢力と関わりがある

(投資してくれた)エンジェルが反社会的組織と関わりがあった場合、事業が成功しても上場はできないといわれている。

あなたが上場することを目指しているのであれば、クリーンな投資家であるかを必ず調査しよう。

2.すぐに投資を決める

資金調達に困ってギリギリな状態であった場合、 「今すぐ投資します」の言葉はとても魅力的に感じるだろう。

しかし、事業内容も起業家の人間性も知らず、成功の見込みがあるかわからない状況で出資をする投資家がいるだろうか?

エンジェル投資家はリターンを求めていないわけではないため、投資先についてよく調べる。

事業内容やビジネスビジョン、人間性がわかるような質問をしたり、起業家たちと多くのコミュニケーションを取るだろう。

すぐに投資出来るという言葉は魅力的だが、(投資詐欺の可能性もあるため)避けたほうが無難である。

3.億単位で投資する

上場企業の株式を買い占めるような大物の投資家ですら、最高の投資金額は5,000万円ほどといわれている。

そのような中で、1億円以上を投資しようとするエンジェル投資家は警戒した方がいいだろう。

契約書にわかり辛い形で返済義務について載せていたり、経営を厳しく管理するなど、何かしら利益になるものを得ようとしている可能性が高い。

多額の資金に誘惑されないように気をつけよう。

エンジェル投資家に株式を多く割り当ててしまう

エンジェル投資家に投資してもらう時、会社の株式を発行する。

その際、多額の資金を投資してもらったことやエンジェル投資家を信じすぎてしまうことから、株式を多く割り当ててしまう起業家がいる。

株主は、株主総会において会社の基本方針や経営に関わる重要な事項に対して議決権を持つ。

持ち株比率が高いほど、議決権は大きくなる。

そのため、経営者より投資家の持ち株率が高くなってしまうと、経営の議決権が投資家にほとんど持っていかれてしまい、思うように経営していくことができなくなる。

また、持ち株率が低い経営者に資金を投資してくれるベンチャーキャピタルは少ない。

つまり、その後の資金調達にも影響してくるということだ。

株式についてはよく勉強しておくこと。

安易にエンジェル投資家の要求を飲まないことが大切だ。

エンジェル投資をしてもらった後によくある失敗

(良いエンジェル投資家に出会うことができ)投資をして貰った場合、多額の資金が調達できたことにより、今までお金を掛けられなかったところにお金を掛けたくなったり、事業をどのように展開していくかをよく考えるだろう。

その際、起こりがちな失敗例を紹介していこう。

①広告費にお金を掛ける

スタートアップ企業が苦労するひとつに広告費がある。

名を広めようとすればするほど、広告費は高くなる。

エンジェル投資家から多額の資金を調達できたことで、資金調達によってできる (それまでできなかった) ことを考えると、「宣伝・広告」に目がいってしまうだろう。

「もっと事業を知ってもらえば業績は伸びる」と考える起業家は少なくない。

しかし、広告費を多く掛けたところで、商品が需要にマッチしていないと無駄になってしまう。

広告に予算を掛ける前に、今の流行りに乗っているサービス(商品)であるか、または流行りそうなほど質の良い サービス(商品)ができているかを確認するべきだ。

今はまだその段階に達していないと思うのであれば、 サービス(商品) の開発や販売方法などにお金を掛けよう。

②人件費にお金を掛ける

「人を増やして作業効率を上げれば事業が拡大できる」

「良い条件を出せば良い人材が集まる」

このように考える起業家がいる。

確かに、人材の確保も多額の資金によって叶えられるところはある。

ただ、本当に人材を必要としているのか、事業の状況を考えてみよう。

今の人数でも事業が回っているのであれば、強化すべきところではない。

お金を出せば良い人材が集まるという根拠はないのだ。

履歴書に素晴らしい経歴が書かれていたとしても、働いてみないと期待通りの人間かどうかはわからない。

例え、仕事はできたとしても、社内の空気を乱すような人の可能性もある。

会社はチームで動いているため、個人のスキルが高くても仕事で能力を発揮できるとは限らない。

また、チームワークができる有能な人材を雇えたとしても、短期間で辞めていき、人件費が無駄になることもある。

人件費はリスクを伴う経費であるため、慎重に考えるべきだ。

③オフィスを新しくする

多額の資金が調達できたことで新しいオフィスを借りる。

または新しい店舗を増やして事業拡大を狙うこともあるだろう。

気を付けたいのが、これらにかかる固定費である。

立地良し、アクセス良しの物件を借りると、それだけ固定費が高くなる。

後々、資金調達がうまくいかなくなったり、会社の売上が低下してしまったりと不調な時が来ても、その固定費を支払い続けなければいけないという状況になる恐れがある。

多額の資金を一気に手に入れると起こりやすい失敗である。

オフィスを新しく借りたりすることは、今本当に必要かどうかを考えよう。

また、会社の業績が不調になった時、「固定費を補うことができるか?」「それほどの安定性はあるか?などを考える。

それでも決定することが難しければ、信頼できるメンターや先輩起業家に相談することをオススメする。

まとめ

エンジェル投資は株式を割り当てるかわりに返済義務がない。

そのため、例え事業に失敗したとしても返済する必要はなく、借金というリスクが減る。

また、失敗したからといって、もう投資をしてもらえないということはないので安心して欲しい。

ただ、投資家たちも寄付ではなく、何らかのリターンを求めるのが投資だ。

投資家たちの期待を裏切らないためにも、失敗しないように多くの対策をしなければならない。

エンジェル投資をしてもらう時は、そのエンジェル投資家について入念にリサーチする。

そして、エンジェル投資家に割り当てる株についての知識を備えておこう。

エンジェル投資をしてもらった出資金は慎重に使う。

多額の資金を一気に調達できると、 高い広告費、人件費、固定費に掛けてしまうことが多い。

それよりもサービス(商品) の質を上げたり、販売戦略を練ったりと、未来に確実に繋がると想定されるものに重きを置こう。

エンジェル投資総研は、エンジェル投資の経験があるプロのスタッフが、実際に足を使って投資家をスカウトすることもおこなっており、信頼できるWEBマッチングサービスだ。

ここで良いエンジェル投資家に出会うことができれば、あなたを成功に導く、素晴らしいアドバイザーになってくれるはずである。