エンジェル投資向上委員会でタグ「リーダー」が付けられているもの

日本で唯一、リーダー養成する学校があります。防衛大学校です。防衛大学校は、将来陸・海・空自衛隊幹部養成するために創られた大学校です。防衛大学校を卒業するとそのほとんどが陸・海・空いずれかの自衛隊幹部候補生学校に進学し、晴れて士官として、自身の部隊隊長として数名のしかも年上の部下を率いることになります。

この防衛大学校で体育祭の名物になっているのが『棒倒し』です。とはいっても中学生レベルの棒倒しとは格が異なり、棒倒しの各チームには隊長が存在し、各チームの参謀が練った戦術をもとに各隊員がおり、例えば攻めてくる相手をブロックする役割の隊員、棒を倒されないようにしっかり支える隊員などなど、将来の日本の有事の際の戦闘に備えて、そこには戦略戦術を考案するプロとなるための要素がしっかり組み込まれているのが、防大の『棒倒し』なのです。

このように、戦いには必ず戦略戦術が必要になってきます。それでは、戦略戦術の違いとはいったい何なのでしょうか。戦略とは戦争に勝つための長期的・総合的な計略で、戦術とは、戦略に従って戦いに勝つための個別の具体的な方法を指します。

経営においても経営戦略の立案が勝敗を分けることが間々存在します。「不思議な勝ちはあっても不思議な負けはない」という言葉があります。負けるときには、負けるべくして負けるのです。

それでは、どうすれば勝つことのできる経営戦略を立案することができるのでしょうか。結論から申しますと状態ゴールを明示し、事業ドメイン(領域)を確立するということになります。具体的な例から申し上げます。例えばまくら製造業が枕をたくさん売るためにはどうすればいいかと考えた場合、たくさん寝てもらうようにするということになります。たくさん寝てもらうためには、「リラクゼーションを提供できる状態」を目指し、「リラクゼーション提供業」を事業ドメインとするという戦略を立案すれば、例えば、枕の中に安眠効果のあるアロマを含んだ枕を考案したり、まくら製造業にとどまらず、リラクゼーションマッサージの事業を行うといった戦術に転化していく形になります。

具体的な経営戦略の立案は各企業ごとに異なるため、確実にこの状態ゴールと事業ドメイン(領域)を設定すれば勝てるという戦略はありませんが、参考にしていただけるものではないかと存じます。

いずれにせよ、経営戦略事業ドメイン(領域)の立案の確立こそが勝利のセオリーといえるでしょう。

水落雄一郎

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困難で重要な人間の問題のほとんどは、慎重で思慮深く実践的な小さな努力が解決しています。世界を動かし変革するのは、ヒーローではなく静かなリーダーです。


【1】

どんな分野にも偉大な人物、リーダー、ヒーローがいる。彼らは、見習うべき見本として称えられ、リーダーシップを本当に実践している人だと考えられている。

しかし最も実践的なリーダーはヒーローではない。忍耐強くて慎重で、段階を経て行動する人、犠牲を出さずに自分の組織、周りの人々、自分にとって正しいと思われることを目立たずに実践する人だ。

彼らを静かなリーダーと呼ぼう。静かなリーダーは、その穏健さと自制心により、すばらしい業績を成し遂げてきた。歩みは遅いが、往々にして組織や世界を向上させる最も手身近な方法をとる。

彼らの仕事は、戦略でも、重要であるとも見なされていない。そのため経営トップが考える問題ではない。だが絶えず生活の細部にわたり、継続的に、難しい選択を行っていることに変わりはない。


【2】

静かなリーダーは現実主義者だ。世界をあるがままに見る。だから、周りを驚かせ、意気消沈させ、仰天させる出来事にも対峙できる。

また静かなリーダーは慎重だ。時には単純な問題が、極めて危険なことがある。不測の事態に備えて計画を立て油断しないのだ。

彼らは組織とは利己主義、不正、忠誠心など様々な価値観に人間の本性が交じり合い、混乱に満ちたものだということを知っている。

また組織とは既得権を守ろうとするインサイダーと、インサイダーになろうとするアウトサイダーで構成されていることを知っている。だから組織の抱える問題には慎重に対処する。

静かなリーダーは人を信頼することは大切だと考えているが、その信頼はもろく崩れやすいものであると考えている。


【3】

組織が崩壊しそうなときには逃げ出すのがまともな感覚だ。しかしヒーロー型リーダーは、他人のためにすすんで自分を犠牲する。この手の話は人の心を動かす。だが現実の世界にはほとんどいない。

もちろん静かなリーダーも偏狭かつ利己的、矮小な動機だけで行動するわけではない。彼らも簡単には逃げない。ただそれは利他主義からではない。

静かなリーダーはそこまで高尚でない。しかし他人や自分の組織がどうなるのかも気にしている。同時にしっかり保身も考える。利己主義と利他主義が同居しているのだ。

むしろ静かなリーダーは、最後まで頑張りぬくために、利己主義も利他主義も動員して原動力を引き出す。また組織で影響力を発揮するには地位を得る必要がある。そのために利己主義を発揮する。

大事なことは、人とは様々な動機で行動するものだ、ということを知ることだ。利他主義と利己主義の狭間で身動きが取れなくなるのが一番ばかげている。


【4】

静かなリーダーは、とにかく最後まで頑張り通し、成功することを目指す。そのため狡猾な方法も辞さない。例えば時間稼ぎをする。難問に直面してもすぐに答えを出そうとしない。

ヒーロー型のリーダーシップモデルでは、生きるか死ぬかの選択の場面こそがリーダーシップの見せ場だ。こうした場面で速やかに決断し行動することが評価される。

しかし現実の職場で起きるのは、平凡で些細な出来事だ。だがこうしたことこそ侮れない。当初考えていたよりずっと多くの落とし穴がある。様々な問題に波及するものだ。

静かなリーダーは問題に直面しても即座に対策を打ち出そうとはしない。まず時間を稼ぐ。これは臆病で混乱しているからではない。こうした出来事の裏に潜む危険を、見通しているからなのだ。


【5】

静かなリーダーは、時間稼ぎの他にも、規則を曲げたり、己の組織内での影響力を活かしたり、創意工夫をしたり、およそリーダーらしくない行動をとる。

理由は妥協するためだ。複雑な環境下では、時には道徳に背くか、それを守り通すか、という二者択一を迫られる。そんな中で、一線を守りつつ責任を果たすためには妥協するしかない。

彼らは道徳を貫き通すべきだ、と考えている。だがそう考えるだけでは、問題は解決しない。そこで想像力を発揮する必要がでてくる。

そして、現実を直視し、時間を稼ぎ、規則を曲げ、影響力を活かしながら、創意工夫で難局を乗り切り、何とか目的を達成しようとするのだ。


<コメント>

従来のリーダーシップ論は偉大なヒーロー型のリーダー像を強調してきました。本書はそれとは全く違う、現実的なリーダーのあり方を論じています。

リーダーシップに関する本はたくさんありますが、そのほとんどが大組織のトップの活躍を語ります。それは我々の明日の仕事には使えません。彼らとは置かれている状況も、権限も、カリスマ性も違うからです。

私がこうした本を紹介するのは、元気になれるからです。子供がナポレオンや織田信長の伝記を読むのと同じ感覚です。皆さんにお勧めするのも、ある意味、栄養ドリンクとしての効果です。日常業務に役立つ実務書と混同すべきではありません。

では大企業や大組織のトップでない人間にはリーダーシップは必要ないかというと、そんなことはありません。マネージャーでも平社員でも、リーダーシップを発揮しなければならない局面は、少なからずあるはずです。

しかし、こうしたことは日常茶飯事としてあまり本に取り上げられません。本書はこういう日常茶飯事にこそ光を当てています。そして我々がまず目指すべきモデルとして、静かなヒーローを提示してくれます。

本書にでてくるリーダー達は決して格好よくありません。でもしっかり行動し、成果も実績も残します。

そしてこれまで自分がやってきたことが、姑息で、間違った、必要悪のようなものではないのだ、肉を切らせて骨を絶つ、高度な戦術なのだ、というお墨付きを与えてくれます。

(ビジネス選書&サマリーより)

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