経営戦略: 2009年4月アーカイブ
実店舗系のネット販売が高成長
情報源:日経MJ(流通新聞) 2009.04.20【3面】
◆市場規模が縮小すれば、当該業界各社の業績に影響が生じる。しかし、その影響は必ずしも“公平”ではない。たとえば、上位企業にはほとんど影響がなく、下位企業の売上が激減する、といったことがある。
◆イメージで言えば、下位の方から切り落とされていく、といった感じだ。心地のよいたとえではないが、リストラの際、成績不振社員のクビを切っていくようなものだ。
◆その結果、市場規模は縮小しても、上位企業の売上が増加するといったことも起こり得る。淘汰された下位企業の顧客が、上位企業に流れていくからだ。
◆これは、市場の変化が、競争環境にどのような影響を与えるか、という話だ。一般的に、競争力の高い「強者」に有利に働く。だからこそ、ナンバーワンになることが、戦略の目標となるわけだ。
◆20日付けの日経MJ(流通新聞)に、「ネット通販、新潮流」と題する記事が掲載されている。「ネット通販専用企業」ではない「実店舗系のネット販売も高成長している」と伝えている。
◆記事で例として取り上げられているのは丸井だ。同社の場合、ネット販売の売上高は「2007年3月期の50億円に対して2009年3月期は3倍の150億円。今3月期は200億円の計画だ」という。
◆記事は、「2、3年前まで実店舗系のネット販売は副業の感じで力が入っていなかった。だが最近は本格展開する企業が相次いでいる」としている。
商品力が高いことが成功の大前提
●背景として「ネットを不可欠の生活用具として活用する消費者が飛躍的にふえている」ことがあり、実店舗の「ネット併用戦略」が重要だと、記事はしめくくっている。
●興味深いのは、丸井が「当初、ネット利用客は丸井が出店していない地域の客が大半」と見ていたということだ。「店舗客はネットで買う分、店購入を減らすのではないかとも考えた」そうだ。
●しかし現実は、「ネット購入額が多いのは店舗でも買い物している客で、ネット利用後も店の購入を減らしていないことがわかった」。むしろ、「ネットを用意することで丸井ファンを囲い込み、他店に流れていた分を取り込んだ格好だ」と分析している。
●消費者の財布の中身の奪い合いという競争状況を考えると、丸井の実店舗とネット通販との間ではなく、両者の“連合軍”と他店との競合になったわけだ。
●また、丸井の若島隆常務は、ネットは「短時間で買いたい商品を見つけやすい」と指摘しているから、実店舗にネット通販が加わることで、販売の機会損失を防ぐ効果をもたらしたとも言える。
●自社内競合するか、それとも相乗効果をもたらすか。事前の見極めは容易ではないかも知れない。丸井の場合、幸い後者の結果となったわけだが、その要因は、商品の競争力が高いことに他ならない。
●市場規模が縮小した場合でも、競争力の高低で、結果に大きな差が生まれる。同様に、実店舗とネット通販を併用したからと言って、丸井のように成功するわけでもない。商品に魅力がなければ、機会損失の起こりようがないのだ。
●実店舗とネット通販の併用は、ごく単純に考えると、店舗面積が拡大したことになる。店舗面積を拡大しても、売り場全体に魅力ある商品を揃えることができなければ、成功しない。それと同じことだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、既存事業に相乗効果をもたらす新たな展開について、どのような考えを持っているだろうか。どのような展開であろうと、商品に競争力がなければ、相乗効果も何もない。根本的な勘違いをしないようにしよう。
(経営戦略考より)
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