経営戦略: 2008年6月アーカイブ
電話で登録を促す求人サイト
情報源:日経産業新聞 2008.02.21【1面】
◆ネット上のシステムでビジネスが自動的に完結するような仕組みを作ることができれば、楽に稼ぐことができる。舞台裏を見ることがなければ、そう思うのも無理はない。
◆しかし現実には、その「舞台裏」で、極めてアナログな営業活動を行なっていたりする。たとえばマッチングビジネスの場合、サイトを作って放置しておくだけでは、なかなか成約に至らなかったりする。
◆「舞台裏」では、担当者が電話をかけまくり、登録者がアクションを起こすのをしきりに勧めているといったこともある。そして形の上では、ネット上でマッチングが成立したように見せかける。
◆もちろん、軌道に乗れば、その手間がなくてもどんどんマッチングが成立するようなるのだが、少なくとも、それまでが大変だ。今までになかった仕組みを世の中に定着させるには、やはりそれなりの苦労がある。
◆21日付けの日経産業新聞に、「人材派遣大手のマンパワー・ジャパンはインターネット上の求人サイトで求職を応募した就職希望者に対し、速やかに電話で派遣登録予約を促す取り組みを始めた」という記事が掲載されえいる。
◆やはりサイトを作っただけでは不十分なのだ。記事によれば、「派遣社員として働くには求人サイトで応募するだけでなく、面接など派遣登録が必要」という。それをじっと待っているわけにはいかない。
◆なぜ「速やかに」行なわなければならないかと言えば、「ネットで求職する人は他社の求人案件に応募をしているケースが多く、素早く派遣登録を予約させることで人材の囲い込みを図る」必要があるからだ。
放置されていた業務に徹底的に取り組む
●「先んずれば制す」という言葉がある。マンパワーの取り組みは、まさにそれを地で行くものだ。「早い者勝ち」とでも言えるだろうか。「速やかに電話」をすることは、決して難しいことではない。
●派遣人材の確保競争が激しいことが背景にあるのだろうが、その割には、こんな単純なことで、という思いもしないではない。しかし現実には、そう簡単ではないようだ。
●記事によれば、従来は、派遣登録を促すために「応募者と連絡が取れるまで2日程度かかることが多かった」という。理由は、その業務が「ほかの部署が兼務する例が大半」だったからだ。
●決して難しくないこと、簡単なことでも、なかなか出来なかったりするのはよくある。企業の中では、担当者がいないことが原因だ。担当者がいても、兼務では、しっかりとした取り組みはできにくい。
●そこでマンパワーは「電話連絡を担当する専門部署」を新設したという。記事によれば、「こうした専門部署をつくるのは極めて異例」だそうだ。簡単なことでも、徹底して取り組もうという強い意思を感じる。
●もっとも、お今回のような記事が新聞に掲載されると、他社にマネされてしまうのではないだろうか。あるいは、電話がかかってくるのを望まない求職者に嫌われるのではないかと、余計な心配もしたくなる。
●ともあれ、「すぐに電話した方がよい」のように、「○○すればいいのに」という業務は、企業の中でたくさん放置されているのではないだろうか。しかし、責任を持ってそれに取り組む人員・部署が決まっていなければ、いつまでも放置されたままだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、やった方が良いと誰もが感じている業務が放置されているということはないだろうか。本気でその業務をやる決意があるのなら、そのための専門部署を設置しよう。そうしない限り、放置状態はいつまでも続いてしまう。
(経営戦略考より)
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総支配人の任期を5年に延長
情報源:日経産業新聞 2008.02.19【23面】
◆企業の成長を顧客と商品の切り口で考えるなら、既存顧客に新たな商品を売るか、既存商品を新たな顧客に売るか、いずれかの方向を探ってみると考えやすい。
◆一般的には、既存顧客に新たな商品を売る方が、取り組みやすい。既に取引上の信頼関係が出来ているからだ。もう一つのパターンでは、商談の前のアポとりからスタートしなければならない。
◆信頼関係を新たに構築するのは、容易なことではない。逆に、信頼関係が出来上がっていれば、物事がスムーズに進む。コミュニケーションに至っては、「いつものやつ」で済むから「話が早い」。
◆強固な信頼関係の存在は、競合他社との差別化要因にもなる。付き合いが長いからという情実だけの問題ではない。上述のように「話が早い」という実利的なメリットもある。
◆信頼関係の構築には、ある程度の時間をかける必要がある。一朝一夕にはいかないことが、競合他社にとっては対抗しがたい優位性になり得るわけだ。
◆19日付けの日経産業新聞に、「藤田観光は運営するビジネスホテル『ワシントンホテル』の総支配人の任期を2009年にも5年に延長する」という記事が掲載されている。
◆今までは「3年以内で交代するケースがほとんどだった」というが、「任期延長で地元との連携を強化する」。意図としては、「地方の都市部などで激化している顧客獲得で競争力を高めたい考え」だそうだ。
測定できないものを定量化する
●一つのポストの任期を長くすることは、いろいろな意味で、信頼関係の強化につながる。記事を読んでいくと、先述のような情実面、コミュニケーション効率面のほかのメリットが解説されている。
●まず、任期を長くすることで「総支配人が腰を落ち着けて経営判断できるように」なる。裏を返せば、任期が短い場合、単なる「腰掛け」的な姿勢に陥りがちだということだ。
●本人の意識がどうあれ、周囲は「どうせ腰掛けだろう」という目で見ることにもなる。信頼関係を作るには、程遠い状態だ。記事は、任期が短いことで「施設の改修を先延ばしにしたり、宣伝費を大幅に削ったりして短期的な利益確保に躍起になる」といった弊害があることも指摘している。
●任期の長期化は、地元の「鉄道や観光施設などと連携して旅行商品を企画する」といったメリットもある。そのような連携企画をつくるには、互いのリソースへの知識や理解、さらには信頼関係の存在が欠かせない。
●しかし、信頼関係の程度は、定量的に測定することは難しい。誰もがビジネスには信頼関係が重要だと口にするが、測定できないものはコントロールもできないはずだ。「信頼関係が重要」というセリフも、それではお題目でしかない。
●今回の記事の場合、その「信頼関係」を「任期の年数」に置き換え、定量化したと言える。もちろん厳密なものではないが、「目安」にはなる。
●この手の「目安」としては、たとえば一つの外国語をそこそこ習得するには1000時間の学習が必要だ、といったものがある。この「目安」があることで、学習者は学習計画を立てやすくもなる。
●測定できないものをコントロールするには、このような「目安」に置き換えてみる方法がある。測定不可能とあきらめずに「目安」を設定するのは、一つの知恵だと言えるだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業が重要だと考えていることで測定できないものとしては、何があるだろうか。それを、目安となる測定可能なものに置き換えることを考えてみよう。そうしなければ、重要だと考えていても、お題目で終わってしまう恐れがある。
(経営戦略考より)
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