経営戦略の最近のブログ記事
短期契約の駐車場運営
情報源:日本経済新聞 2008.03.04【15面】
◆ビジネスには、時間との戦いという面がある。時流に乗り遅れないようにすること、あるいは競合にいかに先んじるかといったことは、常に忘れてはならないことだ。
◆さらに大切なのは、「時は金なり」という側面だ。起業や新規事業の立ち上げにあたり、いかに早く黒字化するかは、重要な問題だ。グズグズしていると、資金がどんどん流出していく。時間=お金だということを、痛切に感じさせられる。
◆その点、会社を辞めずに取り組む「週末起業」は有利だ。生活資金については、勤務先の給与により保証されている。大きな赤字は困るが、多少のことなら、何年でも事業を継続できる。
◆「二足のわらじ」の週末起業は、時間不足という悩みがあるのだが、上述の観点からすれば、時間経過=資金流出という心配はない。立ち上げてから収益が上がるまでの時間がかかるようなビジネスは、独立起業ではなく、週末起業で取り組む方が適している。
◆一方、時間をムダに過ごすことは、機会損失を招いていると考えることもできる。だから、「○○を遊ばせておくのはもったいない」といった発想も生まれる。
◆4日付けの日本経済新聞に「駐車場運営会社は改正建築基準法を受け、ビルなどの建設予定地を持つ土地オーナーからの3カ月-1年半の短期契約の獲得に力を入れている」という記事が掲載されている。
◆背景として、建築確認の審査期間が長引いていることがある。せっかく土地を確保しても、なかなか着工ができない。それまでの期間、土地を遊ばせておくのはもったいない。だから、「暫定的に駐車場で運用したいという声が増えている」のだそうだ。
「発想」と「実現」の間のギャップを埋める
●「時間」の要素をアイデアに採り入れると、新たなビジネスアイデアが生まれてくるものだ。今回のように、通常は「長期」なのだが、それを「短期」にしてみる、といった具合だ。
●たとえば「ウィークリーマンション」。敷金・礼金を払って月単位で借りるのではなく、敷金・礼金なしに1週間単位で借りることができる。実際には2日間から契約できるようだ。
●「家事代行」も同様だ。かつては住み込みのお手伝いさんを雇ったりしたものだが、週に1日、2時間程度といった利用の仕方ができるようになった。
●「長期」では取り込めなかった需要も、「短期」にすれば、それが可能になる。野菜や惣菜を一人前に小分けして売るようなもので、文字とおり「スキマ」の市場を獲得できる。
●もちろん、その発想は良しとしても、それで採算が合うかどうかは検討しなければならない。記事の駐車場の場合、料金精算機械ではなく有人管理にしたり、地主との交渉で、賃料を「通常の半額程度に抑え」るといった工夫をしている。
●そもそも今まで「長期」しかなかったのは、「短期」では採算が合わないからだったわけだ。今回の記事の取り組みには、単純に時間を短くすることにとどまらず、過去の「常識」への挑戦という意味合いも含まれることにも着目しておきたい。
●「ちょっとしたアイデア」と片付けられてしまうケースも多いのだが、発想することと、それを実現することの間には、大きな隔たりがある。その「隔たり」を乗り越える取り組みなしに、新発想に基づくビジネスが実を結ぶことはない。
■ 教訓 ■
あなたの企業が提供している商品・サービスについて、その「時間」の要素を変えてみるとどうなるだろうか。顧客にメリットをもたらすのなら、ぜひ実現を考えてみたい。過去の「常識」への挑戦となることを覚悟し、工夫を凝らしてみよう。
(経営戦略考より)
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研修施設を新設する企業が相次ぐ
情報源:日本経済新聞 2008.03.03【15面】
◆さまざまな中小企業の経営のお手伝いをしてきた。コンサルタントとして、いろいろなアドバイスをするのだが、必ずしもそれらのすべてが受け入れられるわけではない。
◆コンサルタントにアドバイスされたことを理解し、ほとんど納得していても、やはり実行するには勇気がいる。そのような経営者を励ますのもコンサルタントの役目だが、最終的には経営者が判断することだ。
◆コンサルタントは経営者に選択肢を提供するのであって、何かを強要する存在ではないし、その立場にもいない。自社の現状を最もよく理解しているのは経営者であり、コンサルタントとしてできるのは、経営者の意思決定をサポートするところまでだ。
◆経営者がコンサルタントのアドバイスを受け入れ、本気で取り組む気持ちになったかどうかは、自社の組織・人事の変更に着手したかどうかでわかる。
◆だから、経営者から組織・人事の相談を受けると、「いよいよ本気になってくれたんだな」と感じる。組織変更や人事異動は、経営資源の配置と配分を変えることを意味し、トップだからこそ出来る戦略的打ち手なのだ。
◆何事も「本気」で取り組まなければ、成果など上がるものではない。経営者の「本気」度は、組織変更・人事異動という形で顕在化する。気持ちは必ず、形になって現れるものなのだ。
◆3日付けの日本経済新聞に、「多数の従業員を集めて教育を実施する研修施設を新設する企業の動きが相次いでいる」という記事が掲載されている。それらの企業は、人材育成に「本気」なのだということが感じられる。
「本気」は「形」に現われる
●記事には、具体的に5社の事例が取り上げられている。業種はバラつくが、共通しているのは、いずれも売上や従業員数が急激に拡大しているということだ。
●企業の成長に伴い、人材の育成が急務となってくる。人材が順調に育たなければ、それが成長の足かせとなる。「本気」になって取り組まなければ、成長機会を逃してしまうわけだ。
●どの企業でも、人材育成が重要だということは理解している。しかし、どこまで「本気」かと言えば、その温度差は大きい。今回の記事のように、自前の研修施設をつくるのは、かなり「本気」度が高い。
●まず「形」から入ると言うが、研修施設という器を作ることも、その一つと言えるだろう。組織や人員体制を変えることも、「形」を整えることを意味する。
●私が以前に在職した英語研修会社では、リクルート部という部署をつくり、求職者を迎え入れたり、面接をしたりするスペースを設けた。企業規模からして分不相応という意見もあったが、結局、その取り組みのおかげで急成長を遂げることができた。
●今回の記事で事例して挙げられた企業は、研修施設をつくる前は、教育といえばOJTが中心で、集合研修をする場合でも、社外の会議室を借りて実施していたという。このような取り組みでは間に合わないという意識があったのだろう。
●「仏作って魂入れず」では困るが、「形」も整えずにお題目ばかり唱えていてもしょうがない。「本気」は「形」に現われる。自社の施策への取り組みが「本気」かどうか、まずは「形」を作っているかどうか、点検してみるとよいだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、自社の重点施策としてどのような事柄を打ち出しているだろうか。その施策に伴い、どのような「形」を整備しているだろうか。「形」に現われない施策は、「本気」ではないということだ。今一度考えなおし、どのような「形」をつくるか、考えてみよう。
(経営戦略考より)
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新入社員の指導にエルダー制度
情報源:日経産業新聞 2008.02.28【29面】
◆仕事を進めたいと思うなら、「誰が」「いつまでに」を明確に決めることだ。会社として取り組むべき仕事が進んでいない場合、「誰が」「いつまでに」があいまいであることが多い。
◆「誰が」「いつまでに」を含め、仕事を進めようとするのなら、いわゆる「5W2H」を明確に意識することが必要だ。企業にとって非常に大切な仕事である「人材育成」についても同様だ。
◆「誰が」「何を」「いつまでに」「なぜ」「どこで」「どのように」「どのレベルまで」といった具合に、「5W2H」を設定する
ことができる。
◆これをキチンとした制度として運用していけば、「あいまい」にせずに済む。そうすることで、「人材育成」という仕事を粛々と進めていく。
◆28日付けの日経産業新聞に、「自動車用樹脂部品大手のニフコは若手社員が新入社員を指導する『エルダー制度』を2008年度から本格導入する」という記事が掲載されている。
◆新入社員の指導、すなわち「人材育成」の仕事を、若手社員の「エルダー」が行なうと決めたわけだ。これにより「誰が」が明確になるので、取り組みがしっかりとなされる。
◆記事によれば、「技術部門では以前から慣習として若手が新人を指導していたが、これを制度として確立する」のだという。「慣習」から「制度」への転換することで、「あいまい」さを排除することができる。
「誰が」をしっかりと決めること
●「エルダー制度」は、既に多くの企業が導入しているが、最近は先輩が後輩の面倒を見るのは当たり前だという「慣習」が薄れつつあるように思うので、これを「制度」化する必要性は、以前にも増して高まっているのかも知れない。
●この「エルダー」には、「入社4、5年程度の若手社員」が任命され、「新入社員に一人ずつ付く」という。エルダーは、自分自身の仕事を持ちながら、新入社員を指導することになる。
●「エルダー制度」のメリットとしては、「年齢が近い人が指導することで相談しやすい環境を作る」ことや、「新入社員に教えることで(エルダー自身の)技能の定着を図る」、「管理職になる前に管理業務を学べる」といった点がある。
●社員への教育を考える際、「何を」教えるかが、議論の中心となりがちだ。しかし一方、「誰が」教えるのかも、さらに重要であったりする。「誰がやっても同じ」というわけにはいかない。
●ニフコの「エルダー制度」では、新入社員に対する教育効果のみならず、教えるエルダーへの教育効果も視野に入れている。「誰が」の設定が賢く行なわれているわけだ。
●「誰が」が大切なのは、新入社員教育に限ったことではない。どのような新規事業に取り組むのか以上に、「誰に」新規事業を任せるかの方が、重要な意思決定であったりもする。
●「あれをやろう」「これをやろう」といったアイデアで社内の議論が盛り上がることは多いだろう。しかし肝心の「誰が」があいまい、あるいは不適切であれば、すべて「絵に画いた餅」に終わる。
■ 教訓 ■
あなたは経営者として、自社の課題の解決へ向けて、「何を」だけでなく「5W2H」をしっかりと意識しているだろうか。特に重要なのは「誰が」を明確かつ適切に決めることだ。「誰がやっても同じ」ではないし、「誰が」が決まっていなければ、何も変わることはない。
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省エネルギーを提案する電力会社
情報源:日本経済新聞(四国)2008.02.26【12面】
◆一流のアスリートともなると、「自分のライバルは自分」といった発言をするようになる。もはや匹敵する他者がいないとなれば、そのような境地に至るのだろう。
◆正確には、自分のライバルは「過去」の自分、と言った方がよいかも知れない。自分自身の記録を自ら塗り替えていくからだ。真の「自己実現」の姿がここにあるように思う。
◆企業もまた、同様だろう。競争環境の中、短期的には競合他社をライバルとして戦っているように見えるが、長期的には過去の自社の姿を常に塗り替えていく必要がある。
◆環境の変化に対応するには、そのような変革が不可欠となる。26日付けの日本経済新聞・地方経済面(四国)に掲載されている記事も、その事例の一つだ。
◆「四国電力が企業や官公庁に対する省エネルギーの提案件数を増やしている」という。省エネルギーを「節電」ととらえると、そのような提案は「本業の足を引っ張りかねない」取り組みだ。
◆しかし、あえてそのような提案をするようになったのは、「電力自由化への危機感があったからだ」そうだ。「過去の自社を塗り替える」という点では、極めて象徴的だ。
◆とは言え最近は、「原油価格の高騰や二酸化炭素(CO2)削減などの環境意識の高まりを受け引き合いが増えている」という。これはむしろ、電力需要の増大につながるメリットがある。
高い次元へと自らを塗り替える
●電力自由化による自家発電の普及、そして原油価格高騰による電力への回帰と、電力会社にとっては向かい風と追い風の両方を経験したことになる。
●極端に言えば、環境変化の波に翻弄されたということにもなるが、電力販売にとらわれず、もう一つ高い次元からみれば、ユーザの省コスト・省エネルギーのニーズを満たすという点で、ビジネスの展開としては一貫している。
●長期的な戦略を考える上では、そのような「一貫性」を保てるかが、重要な評価基準となる。多少の環境変化では、あたふたしないような戦略だ。
●「長期的な戦略」と述べたが、正確には「事業ドメイン」と呼ぶ方が適切だろう。あるいは「ミッション」「ビジョン」と呼ばれることもある。いずれにしろ、それらは短期的にコロコロ変わってしまっては困る。
●四国電力のサイトにあたってみると、「企業理念体系」のページに「常に、お客さまにとって最良の電気エネルギーを提供する」といった表現がある。
●一方、「よんでんグループビジョン」としてダウンロードできるファイルを見ると、グループミッションとして「・・エネルギーを中心として、人々の生活に関わる様々なサービスを・・」といった表現がみられる。
●また、電気事業を中核事業と位置付けつつも、「マルチユーティリティー企業」「総合エネルギー事業」「ソリューションサービス活動」といった表現もみられる。電力のみにこだわらないと共に、省エネルギー提案に積極的に取り組もうという姿勢が垣間見える。
●制定された時期の違いが表現の違いに反映しているのだろう。過去の自社を塗り替える様子がわかるようで、興味深い。塗り替えの方向性は、常に高い次元を目指すものであり、そうすることで、「一貫性」を保つことができる。
※四国電力 → http://www.yonden.co.jp/index.htm
■ 教訓 ■
もしあなたの企業が環境変化の波に翻弄されていると感じるのなら、より高次元の存在を目指すことが必要な時期に来ているのかも知れない。そのためには、過去の自社を塗り替えることが必要だ。
(経営戦略考より)
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宿泊予約サイトが好調な滑り出し
情報源:日経MJ(流通新聞) 2008.02.25【9面】
◆売上を増やしていくには、既存顧客に新たな商品を売るか、既存商品を新たな顧客層に売るかを考えてみるのが手っとり早い。一般的には、前者の方が取り組みやすいと言われる。
◆そこで、品揃えを増やしていくことを考える。顧客視点から言えば、ワンストップですべての商品が揃うのは魅力的だ。かくして「総合的な品揃え」を志向するようになる。
◆しかし現実には、うまくいかないケースは多い。今の時代、「総合」は「強み」ではなく「弱み」だとされたりもする。一つのカテゴリに特化した「専門店」に勝てないからだ。
◆既存顧客の他のニーズを取り込むような商品を提供すれば、売上を増やせるはず。品揃えの不足は、売上の機会損失に違いない。そう考えて品揃えを増やし、失敗する。
◆自社としては「新たな品揃え」だが、既にその商品を扱っている店は存在する。彼らにとっても顧客にとっても、全く「新た」ではない。「新たな品揃え」だと言っているのは、自分たちだけだということに、気づかなければならない。
◆25日付けの日経MJ(流通新聞)に、近畿日本鉄道が運営する沿線情報サイト「K’sPLAZA(ケーズプラザ)」についての記事が掲載されている。
◆このサイトのコンテンツ拡充の一環として、昨年3月に「近鉄沿線ぐるなびレストランガイド」を立ち上げたのに続き、「近鉄沿線宿泊e予約」を今月1日に開設し、「好調な滑り出しを見せている」という。
※K’sPLAZA → http://www.kintetsu.co.jp/
機会損失に見えるのは錯覚
●近鉄が運営するケーズプラザは、「沿線の観光情報サイト『伊勢・鳥羽・志摩』や『奈良大和路』を独自に作り、サイトの内容を徐々に拡充してきた」という。
●このような沿線情報は、電鉄会社ならではの競争力を発揮することのできる分野だ。さらにこのサイトでは、路線検索やチケットの予約もできる。これも、電鉄会社のサイトなら競争力が高いはずだ。
●しかし近鉄によれば、「路線を検索しにきた利用者が、『食事場所や宿泊先を調べるため別のサイトへ行ってしまう』」ことが問題として認識されていたという。先述したような「機会損失」を感じていたわけだ。
●「別のサイトへ行ってしまう」人たちを逃さないためには「食事場所や宿泊先」の情報も提供する必要がある。つまり、「新たな品揃え」だ。しかし、自前でそれを行なう愚は犯さなかった。
●食事場所については「ぐるなび」、宿泊先については「近畿日本ツーリスト」「楽天トラベル」と組んだ。そうすることで、「一からサイトを作る手間やコストを省ける利点があり、サービス開始当初から充実した情報の提供が可能になった」。
●品揃えを拡充し、総合化しても、特化した専門店に勝つのは容易ではないのだ。近鉄沿線情報のように、自社が勝てる部分は自前で行ない、他の部分については、最も魅力的な専門事業者と提携するのが賢明だ。
●品揃えの拡充も含め、異なる分野に進出する場合は、競争優位性を確保できるかどうかの見極めが非常に重要となる。優位性がなければ、機会損失と見えるのは「錯覚」に過ぎないのだ。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、品揃えの拡充や新商品・新規事業への進出にあたり、他社との比較優位性を十分に考えているだろうか。優位性がなければ、従来顧客に対する機会損失だと考えるのは錯覚に過ぎない。
(経営戦略考より)
エンジェル投資総研は、シードマネー集めに難航している起業家に対し、投資・融資をしてくれるエンジェル投資家を募集し、出会いの場を創出しています。
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電話で登録を促す求人サイト
情報源:日経産業新聞 2008.02.21【1面】
◆ネット上のシステムでビジネスが自動的に完結するような仕組みを作ることができれば、楽に稼ぐことができる。舞台裏を見ることがなければ、そう思うのも無理はない。
◆しかし現実には、その「舞台裏」で、極めてアナログな営業活動を行なっていたりする。たとえばマッチングビジネスの場合、サイトを作って放置しておくだけでは、なかなか成約に至らなかったりする。
◆「舞台裏」では、担当者が電話をかけまくり、登録者がアクションを起こすのをしきりに勧めているといったこともある。そして形の上では、ネット上でマッチングが成立したように見せかける。
◆もちろん、軌道に乗れば、その手間がなくてもどんどんマッチングが成立するようなるのだが、少なくとも、それまでが大変だ。今までになかった仕組みを世の中に定着させるには、やはりそれなりの苦労がある。
◆21日付けの日経産業新聞に、「人材派遣大手のマンパワー・ジャパンはインターネット上の求人サイトで求職を応募した就職希望者に対し、速やかに電話で派遣登録予約を促す取り組みを始めた」という記事が掲載されえいる。
◆やはりサイトを作っただけでは不十分なのだ。記事によれば、「派遣社員として働くには求人サイトで応募するだけでなく、面接など派遣登録が必要」という。それをじっと待っているわけにはいかない。
◆なぜ「速やかに」行なわなければならないかと言えば、「ネットで求職する人は他社の求人案件に応募をしているケースが多く、素早く派遣登録を予約させることで人材の囲い込みを図る」必要があるからだ。
放置されていた業務に徹底的に取り組む
●「先んずれば制す」という言葉がある。マンパワーの取り組みは、まさにそれを地で行くものだ。「早い者勝ち」とでも言えるだろうか。「速やかに電話」をすることは、決して難しいことではない。
●派遣人材の確保競争が激しいことが背景にあるのだろうが、その割には、こんな単純なことで、という思いもしないではない。しかし現実には、そう簡単ではないようだ。
●記事によれば、従来は、派遣登録を促すために「応募者と連絡が取れるまで2日程度かかることが多かった」という。理由は、その業務が「ほかの部署が兼務する例が大半」だったからだ。
●決して難しくないこと、簡単なことでも、なかなか出来なかったりするのはよくある。企業の中では、担当者がいないことが原因だ。担当者がいても、兼務では、しっかりとした取り組みはできにくい。
●そこでマンパワーは「電話連絡を担当する専門部署」を新設したという。記事によれば、「こうした専門部署をつくるのは極めて異例」だそうだ。簡単なことでも、徹底して取り組もうという強い意思を感じる。
●もっとも、お今回のような記事が新聞に掲載されると、他社にマネされてしまうのではないだろうか。あるいは、電話がかかってくるのを望まない求職者に嫌われるのではないかと、余計な心配もしたくなる。
●ともあれ、「すぐに電話した方がよい」のように、「○○すればいいのに」という業務は、企業の中でたくさん放置されているのではないだろうか。しかし、責任を持ってそれに取り組む人員・部署が決まっていなければ、いつまでも放置されたままだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、やった方が良いと誰もが感じている業務が放置されているということはないだろうか。本気でその業務をやる決意があるのなら、そのための専門部署を設置しよう。そうしない限り、放置状態はいつまでも続いてしまう。
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総支配人の任期を5年に延長
情報源:日経産業新聞 2008.02.19【23面】
◆企業の成長を顧客と商品の切り口で考えるなら、既存顧客に新たな商品を売るか、既存商品を新たな顧客に売るか、いずれかの方向を探ってみると考えやすい。
◆一般的には、既存顧客に新たな商品を売る方が、取り組みやすい。既に取引上の信頼関係が出来ているからだ。もう一つのパターンでは、商談の前のアポとりからスタートしなければならない。
◆信頼関係を新たに構築するのは、容易なことではない。逆に、信頼関係が出来上がっていれば、物事がスムーズに進む。コミュニケーションに至っては、「いつものやつ」で済むから「話が早い」。
◆強固な信頼関係の存在は、競合他社との差別化要因にもなる。付き合いが長いからという情実だけの問題ではない。上述のように「話が早い」という実利的なメリットもある。
◆信頼関係の構築には、ある程度の時間をかける必要がある。一朝一夕にはいかないことが、競合他社にとっては対抗しがたい優位性になり得るわけだ。
◆19日付けの日経産業新聞に、「藤田観光は運営するビジネスホテル『ワシントンホテル』の総支配人の任期を2009年にも5年に延長する」という記事が掲載されている。
◆今までは「3年以内で交代するケースがほとんどだった」というが、「任期延長で地元との連携を強化する」。意図としては、「地方の都市部などで激化している顧客獲得で競争力を高めたい考え」だそうだ。
測定できないものを定量化する
●一つのポストの任期を長くすることは、いろいろな意味で、信頼関係の強化につながる。記事を読んでいくと、先述のような情実面、コミュニケーション効率面のほかのメリットが解説されている。
●まず、任期を長くすることで「総支配人が腰を落ち着けて経営判断できるように」なる。裏を返せば、任期が短い場合、単なる「腰掛け」的な姿勢に陥りがちだということだ。
●本人の意識がどうあれ、周囲は「どうせ腰掛けだろう」という目で見ることにもなる。信頼関係を作るには、程遠い状態だ。記事は、任期が短いことで「施設の改修を先延ばしにしたり、宣伝費を大幅に削ったりして短期的な利益確保に躍起になる」といった弊害があることも指摘している。
●任期の長期化は、地元の「鉄道や観光施設などと連携して旅行商品を企画する」といったメリットもある。そのような連携企画をつくるには、互いのリソースへの知識や理解、さらには信頼関係の存在が欠かせない。
●しかし、信頼関係の程度は、定量的に測定することは難しい。誰もがビジネスには信頼関係が重要だと口にするが、測定できないものはコントロールもできないはずだ。「信頼関係が重要」というセリフも、それではお題目でしかない。
●今回の記事の場合、その「信頼関係」を「任期の年数」に置き換え、定量化したと言える。もちろん厳密なものではないが、「目安」にはなる。
●この手の「目安」としては、たとえば一つの外国語をそこそこ習得するには1000時間の学習が必要だ、といったものがある。この「目安」があることで、学習者は学習計画を立てやすくもなる。
●測定できないものをコントロールするには、このような「目安」に置き換えてみる方法がある。測定不可能とあきらめずに「目安」を設定するのは、一つの知恵だと言えるだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業が重要だと考えていることで測定できないものとしては、何があるだろうか。それを、目安となる測定可能なものに置き換えることを考えてみよう。そうしなければ、重要だと考えていても、お題目で終わってしまう恐れがある。
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求人広告と人材紹介の組み合わせ商品
情報源:日経産業新聞 2008.02.18【15面】
◆これから起業しようとする人たちの相談に乗ることが多い。アイデアを具体的な商品に仕立て、ビジネスの仕組みを構築する。そうやって、キャッシュを確実に回収するまでの流れをつくる。
◆商品づくりにあたっては、価格をいくらにするかは、かなり頭を悩ませられる問題だ。その代金は前払いにすべきか、それとも後払いにすべきか。それもまた、頭をひねらなければならない。
◆起業する側は、商品やサービスを提供したにも関わらず、代金を回収できなかったらどうするのか、という不安を持っている。しかしそれ以上に、お金を払ったにも関わらず、なしのつぶてだったらどうしよう、と買い手は不安を抱いている。お互いさまだ。
◆とは言え、たいていの場合、前払いか後払いかは、売る商品の特性や業界慣習に則って決まっている。たとえばセミナーの受講料は前払いが一般的で、後払いというのは、あまり聞かない。
◆価格水準や支払い時期だけでなく、購入の数量や、他の商品との組み合わせでも考えてみる必要がある。たくさん買ったり、他の商品とセットにすれば、いくらかの割引があってもよい。
◆18日付けの日経産業新聞に、「求人サイト運営のリスは、求人広告と人材紹介を組み合わせた新しい人材サービスを始める」という記事が掲載されている。
◆「求人広告」と「人材紹介」をセットにした商品というわけだ。セットにするのだから、価格面でのメリットがあってよい。リスが提供するこのセットは、興味深い料金体系を持っている。
確実に価値を提供する仕組み
●リスは、「求人広告の出稿企業が広告掲載中に求める人材を採用できなかった際に、リスの人材紹介の利用料を大幅に割り引くほか、掲載期間の延長にも応じる」という。
●具体的には、求人広告を出して人材が採用できない場合、掲載期間を1ヶ月間延長できる。また、人材紹介サービスを利用して成約すれば、「実質的に紹介料金から広告料金が割り引かれる」。
●商品を売るには、買い手の負うリスクを、極力減らすのが効果的だ。広告料金が無駄になるというリスクを取り除くようにしたのが、この取り組みなわけだ。
●その分、売り手が無料掲載や料金割引のリスクを負うことになる。とは言え、ネット求人広告の掲載期間が延びても、原価率が大きく高まるわけではないし、広告料金の割引分は、人材紹介の販促費だと思えば、リスクとは言い難い。
●つまり、自社が負うリスクを高めることなく、相手方のリスクのみを引き下げるわけだから、Win-Win の良い施策だと言えるだろう。広告にするか人材紹介にするかに迷う求人企業にとっては、ありがたい。広告が不発であった場合、初めから人材紹介にすれば良かったと悔やまずに済む。
●料金設定のうまい仕組みではあるが、人材採用サービスのあり方という視点でも、この施策を眺める必要がある。広告であろうと人材紹介であろうと、人材採用に成功することが、そのビジネスが顧客に提供する価値だ。
●だから、求人広告と人材紹介とが一体となったサービスがあっても良い。リスによる両者の「組み合わせ」は、「人材採用の成功」にフォーカスしており、両者の差異は問題ではないとさえ言える。
●この施策を行なうことで、リスは広告掲載料金を値上げするという。「1カ月5万円だった料金を同10万-50万円の3コースに改定」するそうだ。
●値上げと値下げの組み合わせで、従来とおりの収益を確保する、といった矮小な話ではないと思いたい。総合的な人材採用サービスを提供するにあたり、確実に価値を提供する仕組みとしての施策なのだ。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、顧客に提供している本質的な価値について、どのように認識しているだろうか。顧客がその価値を享受できないリスクがあるとすれば、それを極力、排することが必要だろう。そうでなければ、ビジネスとしての「あり方」に疑問符がつくことになる。
エンジェル投資総研は、シードマネー集めに難航している起業家に対し、投資・融資をしてくれるエンジェル投資家を募集し、出会いの場を創出しています。
スタートアップ期における創業資金調達先として、大口融資・高額融資のエンジェル投資総研をご利用頂き、アーリーステージからの脱却を図ってください。
生保営業職員の給与、固定給を厚く
情報源:日本経済新聞 2008.01.15【5面】
◆週末起業フォーラム主催の「コンサルタント養成講座」の講師を務めている。1990年からコンサルタント業界にいるので、今までに蓄積した知見を、出来る限り受講者に伝えようと思っている。
◆この講座での「よくある質問」として、コンサルティングの料金についてのものがある。いったい、いくらが適正なのか。一応、「相場」のようなものはあるが、その前に料金についての考え方をしっかりと持っておく必要がある。
◆基本的には、工数(所要時間数)×時間単価で設定するケースが多いだろう。但し、何をもって「所要時間数」とするのかは、議論が分かれるところであったりする。
◆一方、費用対効果で設定するという考え方もある。戦略コンサルティングは、戦術コンサルティングよりも高く設定できる。そうでなければおかしいと感じるのが一般的だろう。
◆「成果報酬にすべきでは?」という意見も出たりする。この方式では、「成果」の定義が明確かつ測定可能であることが前提条件となる。そのため、この方式で料金を請求できるコンサルティングは、かなり分野が限られる。
◆15日付けの日本経済新聞に、「明治安田生命保険は保険を販売する営業職員の給与制度を見直す」という記事が掲載されている。現在は「契約の獲得額に応じて支払う歩合給中心」だそうだが、一定の条件はつくものの、10月からは「固定給を厚くする」という。
◆コンサルティングの成果報酬方式と同様、歩合制の給与の方が、一見、合理的に感じるかも知れない。しかし現実には、歩合制給与は「大量採用・大量脱落」という問題を生み、「保険金不払い」の温床になったと指摘している。
リスクをとらないリスク
●獲得金額に基づく歩合給制度では、既に計約している顧客のアフターサービスが行き届かなくなる。処遇が安定していなければ、離職が多くなるし、優秀な人材を確保することもできない。これでは、とても「合理的」とは言えない。
●コンサルティング料金の成果報酬方式も同様だ。たとえば営業利益の増額分の何%を報酬とする、といった契約をしたとする。となれば、どんどんリストラをして、利益を出せばよい。新規事業への投資や新卒の採用など、とんでもない。
●しかしこれでは、短期的に利益が増えても、中長期的には破滅の道を歩むことになる。当然、あってはならないことだ。売上を増やすことについても同様で、利益を無視して安値で販売する方法くらい、すぐに考えつく。
●もちろん、このような施策を取ろうとするコンサルタントに反対しないクライアント企業の経営者はいないだろう。事前にルール決めくらいはするかも知れない。しかし抜け道は常にあるものだ。結局、このような方式での料金設定そのものに問題があるわけだ。
●また、成果報酬方式にすることで、コンサルタントは、より熱心に仕事に取り組むだろうと考えるのは早計だ。むしろ逆だ。成果を出すのが難しい、あるいは苦労すると判断すれば、一気に手を抜くだろう。
●成果が出なくても、料金をもらわなければ済むというだけの話だからだ。クライアント側も、成果が上がれば儲けものというくらいにしか考えていない。コンサルタントは実務を代行しないのが基本だ。実務を担うクライアントにやる気がなければ、成果など、上がるものではない。
●結局のところ、算定方式はともかくとして、コンサルティング料金は固定額にすべきだという話になる。コンサルタントは、これだけもらっているのだから、クライアントも、これだけ払っているのだからと、何としても成果を上げようと互いに努力する。それが健全な姿だろう。
●成果報酬方式は、リスクを下げる策のように見えるが、結局のところ、何ら良い結果をもたらさなかったりするわけだ。ノーリスク・ノーリターンは、この場合にも通用する。
●生保営業の場合でも、歩合給制度にすることは、企業側にとっては、固定給のリスクを減らすメリットがあるように見える。しかし現実には、顧客サービスの低下や人材確保難といったリスクを伴う。サービスやそれを担う人材が競争力の源泉だとすれば、もはやその不合理さを許容できなくなる。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、成果報酬や歩合制のような方式をとることで、リスクを軽減している気になってはいないだろうか。しかしその裏で、隠れたリスクを抱えることになっているかも知れない。それが競争力を高められない要因だとすれば、恐ろしいことだ。
(経営戦略考より)
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スーパー店頭に広告映像を配信
情報源:日本経済新聞 2008.01.10【13面】
◆最近のテレビCMでは、キーワードを入力した検索窓が示され、「詳しくはWebで」と終わるものをよく目にする。それを見た人のうち、どれだけの人がネットにアクセスするのか、気になるところだ。
◆いずれにしろ、商品が購入されるに至るまで、いくつものハードルを越えなければならない。CMを見せ、ネットにアクセスさせ、購買行動を起こさせる。商品を売るのは、容易なことではない。
◆マーケティングの世界では、消費者の行動を説明するのに「AIDMAの法則」がよく知られている。まずは注意(Attention)を惹き、関心(Interest)を持たせ、欲求(Desire)を抱かせ、商品を記憶(Memory)させ、購買行動(Action)へと導く。
◆テレビCMの役割は、注意・関心・欲求を喚起し、さらに商品を記憶してもらうことだ。だから、商品名を連呼するようなCMもよく見かける。そうやって、「記憶」してもらおうというわけだ。
◆印象的なCMであっても、さて何の商品のCMであったか、思い出せないものもある。CMそのものは記憶に残っても、商品を記憶するわけではない。
◆10日付けの日本経済新聞に、「フジテレビジョンは3月から、スーパーの店頭に食品などの広告映像を配信するサービスを始める」という記事が掲載されている。
◆この仕組みでは、テレビで見たCMの詳細版を、売り場の液晶画面で見ることができる。CMの記憶が売り場でよみがえることになるから、それだけ購買行動に結びつきやすくなる。AIDMAのプロセスを「記憶」部分で途切れさせなくする効果があるだろう。
「欲求」「記憶」をつないでいく
●このサービスは、「映像をPHSによる無線方式で配信する仕組みを大日本印刷と共同開発した」ものだという。テレビCMでは「この続きは店頭で」とアナウンスされ、その通りに続きを店頭で見ることができる。
●自宅で見たテレビCMの続きを店頭で見ることになるわけだ。それなら最初から店頭のみでCMを流しても良さそうだが、自宅とは異なり、店頭ではじっくり視聴する気になりにくい。
●じっくり視聴させるには、テレビCMで興味を煽っておく必要がある。続き見たさで売り場に足を運ぶ人は多くないだろうが、見覚えのあるCM、しかも続きが気になっていたとなれば、ついつい見入ってしまいそうだ。
●上述のように、CMを流しても、「記憶」させるのは容易なことではない。しかし正確には、記憶させることよりも、売り場で思い出してもらうことが重要だと考えるべきだろう。
●テレビCMで見るのと店頭で見るのとでは、商品のイメージが大きく異なることも多い。そこで「テレビCMでおなじみ!」のようなPOPを店頭に掲示したりもする。
●印象や記憶は、自宅と売り場とで途切れてしまいがちなのだ。このサービスには、その断絶を「解消」あるいは大きく軽減する機能ある。しかも商品への興味がかき立てられている。
●まだ検証には至っていないが、「CMで見たあの商品は、これだったのか」となり、購買が促進されるであろうことは想像がつく。記事は「最終的に消費を後押しする効果を狙う」としている。
●告知から購買に至るまで、「欲求」や「記憶」をつないでいくことは、マーケティング上での重要な課題だ。そのためには「断絶」を排除していく必要がある。「続きもの」の広告映像配信は、それ貢献するだろう。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、自社の商品の告知と顧客の購買行動との間にある断絶を、どのように埋めていこうとしているだろうか。断絶を取り除くために、顧客の「欲求」や「記憶」をつないでいく仕組みを考えてみよう。
(経営戦略考より)
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