エンジェル投資: 2008年5月アーカイブ

Oosahは自称“メディア管理システム”。その目指すところは、オンラインの動画・画像・音声のファイルをすべて一元管理できるシンプルなワンストップショップだ。一社で孤立していてもしょうがないので、Oosahでは「Web 2.0 Expo」開催に合わせて、他サービスとの統合化を一揃いリリースする。

このサービス連動化により、OosahFlickrYouTubeFacebookPicasaのサービス間でもファイルのドラッグ&ドロップが可能に。Oosahのサイト自体は基本的に2GBのオンライン無料ストレージで、そこに格好いい感じのブラウザベースのファイル管理用ツールがついている。他コンテンツ共有サイトのログイン認証情報をサイトに入力すると、たちまちここがハブになってデータ転送の苦労が減る、というわけだ。

最初Oosahの話を聞いた時には、てっきりあのソーシャルネットワーク情報アグリゲータに夢中なネットのパワーユーザーが対象かと思った。が、いざサイトを見てみたら手持ちのデジタルメディアも簡単にウィジェット化できる辺りが、MySpaceの根強いファンにも絶対アピールしそうだ。

他サービスの連動化に加え、スライドショー専用ウィジェットの補足としてサイトではギャラリー専用ウィジェットもリリースした。これを使うと、Oosahにホストしてもらいながら、ほかのサイトやソーシャルネットワークのプロフィールにも写真や動画を埋め込むことができる。個人的にはこのウィジェットがOosahの中では最も使えるパートかなあ、と思う。自分が持ってるパーソナルメディアを、普通の人でも簡単に配信できる方法だからね。

Oosahエンジェル投資出資する会社で、共有機能を備えたオンラインのストレージサービス会社だけでなく、世界のSlides、RockYousもライバルだ。似たサービスとしては、ここで紹介したSecond Brainも要チェック。

(TechCrunchより)

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企業の商品について人々が読んでいるブログの記事を追跡するというのは、精密科学ではない。FireFoxの人気アドオンBlogRovRは、ユーザーがウェブを閲覧した履歴をベースとして、お気に入りのブログの中から関連ある記事を推薦してくれる。このBlogRovRの開発元であるActiveweaveを獲得したことで、BuzzLogicは、これをもう少し正確なものにしようとしている。

BuzzLogicはすでに、自社やライバルのブランドについての〔ネット上での〕評判に影響を与える人物を特定しようと試みるセールス関係者に利用されている。(Nielsen BuzzMetrics,、Scout Labs、Visible Technologiesとよく似ている)。定期購読サービスは、対象ブログに他のブログからリンクしている数や、リンクを送っているブログの人気度など数十の要素を評価して、任意のトピックについて最も影響力のあるブログをランク付けしている。これはマーケッターのためのTechmemeのようなものだが、購読者は実際に個々のブログのランキングと他のサイトにどうリンクしているかを見ることができる。またBuzzLogicの中から、最も影響力の高いブログにAdSense広告を出稿することもできる。

18万の登録ユーザーを擁するBlogRovRを買収したことにより、Buzzlogicは従来不明だった部分に光を当てることが可能となった。「誰が誰にリンクしているか」ではなく、「誰が何を読んでいるか」の情報だ。消費者がブログを読む習慣をアルゴリズムに取り入れようとしている。BlogRoveR自身に広告が載るわけではないが、そこで集められたデータは集約されてBuzzlogicに使われ、どのブログが最も影響力が大きく、広告主のターゲットとなるかを判断する材料を提供する。

買収の詳細はまだ明らかにされていない。ActiveweaveがEsther Dyson他のエンジェル投資家から調達した金額は100万ドルを超えていないはず。

(TechCrunchより)

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AmazonJibJab出身のDave Schappellが、彼として最新のスタートアップTeachStreetをスタートさせる。また、同社が資金調達第1ラウンドでMadrona Ventures、Bezos Expeditionsおよびエンジェル投資家数人から$2.25M(225万ドル)を集めたことも発表する予定だ。

この会社は、リアル世界の習いごとクラス(料理、犬のしつけ、音楽レッスン、社交ダンス、外国語、ゴルフ、ヨガ等)版のYelpともいうべきサービスで、インストラクターはクラスに関する情報をアップロードすることができる。ユーザーは、入りたいクラスを探したり、コースやインストラクターについてのレビューを読んだり書いたりできる。

現在このサイトは広告収入で成り立っている。TechStreetでは将来プレミアムサービスでインストラクターから料金を徴収することも考えている。Shappellによると、このサービス質の高いサービスを時間をかけてユーザーに広めていくことに関して特に有効なので、そこで料金を取れるという。また同社では高度なターゲット広告が可能で、たとえば犬のしつけのクラスを探しているユーザーに、犬の訓練に関する本を勧めることなどが考えられる。

このサービスは当初シアトル地域でスタートし、2万5000種類のコースが8カテゴリー、70サブカテゴリーに分けて提供される。ただし、検索と閲覧は主にタグを使って行われるので、事実上どんなクラスのカテゴリーでも作ることができる。

オランダのスタートアップLibersyは、リアル世界の各種サービスのための分散型予約サービスを行っており、間接的には競合だといえる。Schappellは、予約やカレンダーのサービスは直接提供していないが、将来はこうした機能を追加する予定だ語った。

(TechCrunchより)

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スタートアップの立ち上げが安く上がるようになって、疏外されるベンチャーキャピタリストが増えている。新しいスタートアップへの出資ではエンジェル投資家に出し抜かれ、VCが口上を聞くより早くGoogleに買われてしまうこともある。

事実、エンジェルたちは昨年$26B(260億ドル)をスタートアップに投じていて、これはベンチャーキャピタリスト出資した$29B(290億ドル)に匹適する。しかしながら、ほとんどのエンジェル投資家が出す$20K~$100K(2万~10万ドル)と、ベンチャーファームが投じる$2M~$3M(200~300万ドル)とのギャップは広がっている。投資インキュベンター、Y CombinatorのPaul Graham会長は、スタートアップにとって必要なのは、このギャップを埋める中くらいの出資が増えることだという。ウェブスタートアップのほとんどは$2M(200万ドル)も必要としていない。必要なのは$300,000(30万ドル)とか$500,000(50万ドル)だ。しかし、大方のベンチャーキャピタリストは、この手の投資に価値があるとは考えない。

Grahamは、どうして第2のGoogleが出てこないかについて書いた記事で、ベンチャーキャピタリストたちが古い思考を捨てられないことを激しく皮肉っている。Grahamによると、ベンチャーキャピタリストのほとんどは、いいアイディアが降ってきても気が付がないという。以下に抜すいする。

以前はVCを海賊のようだと思っていた。大胆で無節操で。しかし、親しくつきあってみると、実は官僚に近かった。彼らは私が思っていたよりも、まっすぐで、大胆でもなかった(少なくとも、いいVCは)。VC業界が変わったのかもしれない。前はもっと大胆だったのかもしれない。しかし、変わったのはスタートアップの世界であって、彼らではないのではないかと思う。スタートアップを安く始められるということは、平均的な有望株はリスキーだということになるが、既存のVC会社の大半は相変わらず、1985年にハードウェアスタートアップ投資しているかのように動いている。

彼らは、本当に斬新なアイディアには恐れおののいてしまう。ファウンダーがそれを埋め合わせるくらいのいいセールスマンでない限り。

しかし、最大のリターンを生むのは大胆なアイディアだ。真に新しくてすばらしいアイディアは、ほとんどの人にダメだと思われる。そうでなければ、誰かがもうやっている。それでも、大半のVCが総意によって動いている。社内だけでなくVCコミュニティー全体の総意だ。VCスタートアップを見てどう思うかの最大の要因は、他のVCがどう思うかなのだ。本人たちは気付いていないと思うが、このアルゴリズムによって、あらゆる最高のアイディアを見過ごすことが保証されている。新しいアイディアを気に入る必要のある人が増えるほど、失われる異常値は多くなる。

そんな海賊投資家たちはどこへ行ってしまったのだろうか。まだ何人かは洞くつに隠れているに違いないと思うのだが。

(TechCrunchより)

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SunYahooGoogle(新参ではMeeboも)を始めとする数えきれないほどのベンチャー企業スタンフォード大学で立ちあがったり、スタンフォード大学出身者によって始められたりしてきた。これからスタンフォード大学は、学生にシード資金を直接出資し、その過程で新しいアイディアから多少の見返りも得ようとしている。

スタンフォード大学の学生生協で、従業員数百人と$13M(1300万ドル)の資産を持つStanford Student EnterprisesSSE)は、初期段階のベンチャー基金SSE Ventures」を開始し、学生が設立するスタートアップに直接出資を行う。

SSEではこれまでもさまざまな投資に注力してきており、学生向けの銀行サービスの運用、スタンフォード電話帳の管理、スタンフォードのロゴ入り衣類の販売などを行ってきた。

新組織のファウンダーはMatt McDonald、Matt McLaughlin、Samuel Lipsick、Brian Chavarriaの4名で、スタンフォード大学の学生、大学院が申請して承認されたプロポーザルに対して$50,000(5万ドル)または$100,000(10万ドル)を出資すると語っている。

SSE Venturesは、プロポーザルの審査を支援するための審議委員会も設ける。委員にはThe Founders Fund、Charles River Venturesおよびエンジェル投資家のRajeev Motwaniらが加わる。

(TechCrunchより)

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「ユーザーの携帯の中にいちばん重要なSNSが眠っている」とSkydeckのCEO Jason Devittは主張する。彼は、Skydeckを利用して携帯の料金請求書を有用な情報に変えるという一見不可能な作業を試みている。ユーザーはSkydeckに携帯の料金アカウントへのログイン情報を伝える。Skydeckは通話情報をスクレイプしてアドレス帳と照合し、通話先の番号を名前に変換する。ユーザーは通話記録をちょうどeメールのヘッダーのように読むことができるようになる。(携帯の通話記録の利用に関してはXobniに似ている。)。Skydeckは通話相手の関係で、誰がいちばん重要かを通話回数を元に教えてくれる。さらにその関係でどちらがイニシアチブをとっているかも判断する。

プライベート・ベータは(米国時間3/24)ローンチした。読者の先着500人がベータ・テストに招待されている。サインアップはここから(「どこでSkydeckのことを知りましたか?」という欄に「TechCrunch」と入力すればよい)。

Devittはこう説明している。

現在、携帯の通話記録には情報の透明性がまったくない。われわれはこの情報を利用しやすい形に変換することで市場を作りだそうとしている。ユーザーの通話記録はすべて携帯の中に入っている。われわれはその情報を取り出してアドレス帳と照合して、誰との関係がどのくらい重要なのかをユーザーに知らせる。

Skydeckが通話記録を分かりやすい形に処理した後、ユーザーは通話にタグづけするなど、いろいろ興味深い利用が可能だ。仕事上の通話にすべて「ビジネス」とタグをつければそのままで経費明細ができる。通話を名前、日付、通話時間、料金でソートすることもできる。Skydeckを利用するとユーザーの通話記録がメールの記録と同様簡単に検索できるようになる。また携帯キャリヤとの契約に照らして今月あと何分無料通話がかけられるか教えてくれるFirefoxプラグインも用意されている。

Skydeckはこの2月に$1M(100万ドル)をエンジェル投資家から調達している。一般ユーザーのこのサービスの利用は無料。Devittは携帯通話料金管理サービスなど中小企業向けの有料プレミア・サービスで収益化を図ろうとしている。またこのサービスを利用してボイスメールの音声認識によるテキスト化サービスなど、他のサービスをプロモーションすることもできると考えている。

Devittは、アドレス帳に載っていない番号の逆引きなど、多くの機能やサービスを将来追加していく計画だ。ここでいちばんの狙いは、アドレス帳のデータを再編成して逆に携帯へインポートしてくることだ。単にアルファベット順に並べるだけでは芸がない、とDevittは言う(残念ながらまだこの機能はサポートされていない)。DevittはまたSkydeckが解析したユーザーの携帯ネットワーク情報をオンラインSNSと結びつける方法を考えてる。これで誰が本当の友達かが一目で分かるはず―つまり実際にいちばんよく話し合っている相手がそれだ。

このサービスには注目しておいてよいだろう。Devittはこれ以前にVindigo(携帯版シティーガイド)を創立している。Devittはなかなか鼻っ柱の強い起業家で、昨年9月に携帯用無線周波数のオープン・アクセスの重要性について彼が議会で証言した下のビデオを見てもそのことが見てとれる。

(TechCrunchより)

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Crusher』の共同設立者Philip Bensaid氏は、売上については考えていない。それよりも優れたサービスを築こうと努めており、資金面は何とかなると考えている。

Philip Bensaid氏は、儲けを出すことについてはまったく考えていない。時代の先端を行くWeb 2.0的な、『Evite』と類似のオンライン招待状サービス『Crusher』の共同設立者であるBensaid氏は、少なくとも当分の間は、自らが出資したこの企業を、売上もなく広告もないまま維持しようと決めている。

「魅力的な製品を作ることと、儲けを出すことは連動しない」と、Bensaid氏は言う。同氏は、ビジネスパートナーであるEricson deJesus氏と共にCrusherを設立した。

「消費者向けの製品では、無理に利益をあげようとすることは、構想をゆがめかねないほどの強大な圧力になる。われわれは、製品を発展させるほうに注力するつもりだ。なんといってもそのほうが楽しい」

有料での演奏を依頼されるようになる前に、腕を磨いてファン層を大きくしておきたいと考えるガレージバンドのように、売上を求めるのは後回しにして、まず事業を確立し顧客を集めるという方針をとるWeb 2.0新興企業が増えており、Crusherもその1つだ。

こうした新興企業の多くが暗黙のうちにもくろんでいるのが、数年間懸命に活動したのち、大企業による買収を狙うという戦略だ。

ドットコム時代の初期には、企業の目指す方針は「急速な成長」だった。現在の新興企業はこれとは異なり、自力での成長を目指しており、その忍耐を続ける余裕もある。

オープンソースのツール群、ウェブを活用するクラウド(cloud)・コンピューティング[グリッドや仮想化によってネット上に拡散したコンピューティング・リソースを使い、ユーザーに情報やアプリケーション・サービスを提供するというコンセプトのこと]、安価なストレージ、ネットワークを駆使するバーチャル・オーガニゼーション[一企業ではカバーできない部分を複数企業のネットワークで相互補完する共同開発・製造体制]などのおかげで、新興企業は小さな資力でより多くのことができるようになった――こう説明するのは、ベンチャー投資企業の米Levensohn Venture Partners社で業務執行役員を務めるKeith Benjamin氏だ。

「ドットコム・バブルのときは1000万ドルかかったことが、現在は50万ドルでできる」とBenjamin氏は言う。そして、現在の新興企業が資金を費やすのは、まず製品開発に対してであって、豪華なパーティーや米Herman Miller社のモダンな椅子、スーパーボウルの広告などにではない。

「バブルの時代に企業は、注目を得るためだけに1000万ドルを投じ、その注目が持続するかどうかは気にもしなかった。現在、企業は回転資金を製品開発につぎこんで、製品が広く受け入れられるかどうかを見極めようとする。このためには、ずっと忍耐強くならなければならない」と、Benjamin氏は語る。

事業資金の消費が少ない場合、初期投資家への返済のために新興企業が新規株式公開(IPO)に依存する必要性は低くなる。そして、最終的に買収されることを期待する戦略への志向が強くなる。

ベンチャー企業買収をめざす戦略は、以前より受け入れられやすいものになっている。なぜなら、今はより少ない資金と時間で企業を設立できるからだ。以前はたくさんの資金が必要だったため、IPO以外の手段では必要額を集めることができなかった」と説明するのは、エンジェル投資家Ariel Poler氏だ。同氏は、ウェブサイトを対象にコンテンツをテキスト・メッセージに変換するサービスを提供する新興企業TextMarks社の最高経営責任者(CEO)も務めている。

売上を出していない企業の場合、投資家の判断基準となる指標がない。この場合企業は、自社の評判や可能性を巧みに売りこむことで、買収主となる可能性のある企業に自社の価値を大きく評価させることができる。ただしこの戦略は、Web 2.0新興企業よりもオープンソースのソフトウェア企業のほうでより一般的だと、Benjamin氏は言う。

「大企業向けオープンソース・ソフトウェア企業は、現実ではなく夢を売るというパターンにぴったりあてはまる。人々の心をわしづかみにして、財布もよろこんで差し出させるような企業も、今後は出てくることだろう」

ウェブ企業は、たとえすぐに到達する見込みではないとしても、売上をあげるようになるまでのはっきりとした道筋を示す必要がある、とベンチャー投資企業米Azure Capital社のゼネラルパートナーMike Kwatinetz氏は指摘する。

「『YouTube』や『MySpace』は、買収時点では実質的な利益がまったくあがっていなくても、良い買収対象だった。その理由は、利益をあげる可能性が明らかなうえ、現実性が実感されたからだ」

それでも、Web 2.0バブル時代とも言える現在において、新興企業の価値を高めるのは、利益力というよりは、いかに急速に人々に広範に受け入れられるかという伝染力の強さだ。

楽曲、動画、ウェブページなどのコンテンツ共有サイト『Plum』のCEOを務めるHans Peter Brondmo氏は、次のように述べる。

「数字が重要なのはもちろんだ。だが、最も大事な数字は、ドルの桁がくっついたものではない。大事なのは、ページビューやサイトの業績を測る数字だ。ベンチャー投資企業を訪れて、『われわれは月に200万人のアクティブユーザーを確保している』と言えば、大きな反応が返ってくるだろう。だが、『売上は200万ドルだった』と言ってもたぶんさほどの反応はないと思う。もちろん、両方を達成して、今後億単位のドルを稼ぎ出す途上にあると示せれば、どんな投資家も注目し、素晴らしいと言うのは間違いないが」

(WIRED NEWSより)

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Eric Janszen氏は、近く刊行される著書において、米国経済が経験することになるという、痛みを伴う構造改革について論じている。

住宅ローン問題と経済危機による犠牲者が増え続けるなか、多くの経済学者たちの頭にある疑問は、景気後退が起こるかどうかではなく、景気後退がどこまで深刻になり、どのくらい続くのかということだ。しかしEric Janszen氏は、金融業界がすぐに活況を取り戻すとは思えないとして、米国経済を立て直す堅固な地盤は他の場所に求める必要があると言う。

Eric Janszen氏は著名なエンジェル投資家で、逆張り投資ウェブサイト『iTulip.com 』の創設者だ。同サイトは、(2000年のネット)バブルがはじけることを正確に予測したと『New York Times』誌が評価したサイトでもある。

Janszen氏は、米国経済は現在、「金融、保険、不動産」という従来の基盤から離れ、抜本的な再構築を必要としていると考えている。同氏の唱える処方箋は、環境関連技術に基づく新たなバブルを起こすということだ。

2月に『Harper's Magazine』誌に掲載され、幅広い議論を呼んだ記事『次なるバブル:今後の市場崩壊にいかに備えるか』のなかでJanszen氏は、住宅バブルによる損失を穴埋めするのに充分な「仮想的な価値」(fictitious value)を創出できるのは、一時的にせよ環境関連技術が唯一の分野だと主張している。

環境関連技術について、懐疑的ではないが推進派でもないJanszen氏は、「現在の経済状況を考えると、新たなバブルの発生よりも悪いのはただ1つ、バブルが起こらないことだ」と記している。

Wired.comとのインタビューでJanszen氏は、米国の経済状況のほか、石油に関税をかけて代替エネルギー開発費用をまかなうという同氏の計画、光ファイバー・ケーブルを各家庭にまでつなぐことが優れたエネルギー政策になることなどについて語ってくれた。

ワイアード・ニュース(以下WN):あなたは、環境関連技術に焦点を合わせながらも、米国経済について幅広く論じ、米国経済が金融業界に依存していることについて論じておられます。現在の経済は、どのようにバブルがベースになっているのでしょうか?

Eric Janszen氏(以下敬称略):手短かにお答えすると、われわれは1995年から始まった一連の資産価格バブルをくぐり抜けてきました。実のところ、一連のバブルを引き起こしたのは、1990年代初頭の景気後退から回復を図るために、連邦政府が米国の金融制度に施したいくつかの変更でした。その政策が、インターネットと不動産という2つのバブルを支える資金拡大の始まりを促したのです。

WN:そしてあなたは、次のステップとなるのが、20兆ドルという仮想的な資産を創出する可能性を持つ環境関連技術だ、とおっしゃっていますね。

Janszen氏:それは実際にはバブルではありません。私はそれを、現在の経済の仕組みと金融市場の機能(の仕方)を正当な形で利用するものだと考えています。

Harper'sの記事のタイトルについては、「The Good Bubble」(良いバブル)という別の案もありました。Harper'sの編集者は、この記事をできるだけ議論を呼ぶものにしたかったのです。

環境関連技術は、資本をきわめて効率的に利用する方法になる可能性があります。近く刊行される私の本では、「FIRE」(finance、insurance、real estate:金融、保険、不動産)経済が急激に衰退するという時期に、米国がどのように突入していくか、という問題について詳しく論じています。古い形での復興は不可能だということが、1年程度の間にきわめて明白になっていくでしょう。

これから必要となるのは、長期的な、しかもこれまでと比べて多少痛みを伴う、経済の構造改革です。

WN:あなたがおっしゃっているのは、どのような種類の構造改革なのですか?

Janszen氏:経済刺激策としての国債による資金調達への依存を減らすことです。この7年にわたり、創出されたすべての新しい事業が、公共と民間の分野において180万ドルの負債をもたらしています。どう見てもこれは持続可能ではありません。あまりにも非効率的です。

国内総生産(GDP)を1ドル伸ばすために、これまで新たな負債がおよそ50セント必要でした。いまや、GDPを1ドル拡大するのに9ドルの負債が必要という状態になっています。

WN:今後、米国経済はどの程度悪くなると思いますか?

Janszen氏:誰もが驚くようなことになるでしょう。住宅ローン問題が米国の信用制度に与えた影響は、やっと実感を伴うようになり始めたところです。

環境関連技術分野に出資するための協調的な取り組みがないため、どの業界や分野が米国を景気後退から引き上げてくれるのか、まだはっきりとは分かりません。

今後どうなりそうかと言うと、政治家がこの状況を分析し、「人々に取り組んでもらうには、これからどうしたらいいのか?」と問いかけることになるでしょう。経済の1つの分野に焦点を合わせることによって、米国を景気後退から脱出させられるのです。

WN:ヘルスケアやバイオテクノロジーなど、それを実行するのに見込みのある分野をいくつか挙げながらも、さほど期待できないとあなたは述べておられます。なぜクリーン技術はそれらと異なるのでしょうか?

Janszen氏:代替エネルギーとインフラは、拡大可能で政治的に都合のいい唯一の経済分野なのです。私が言っているインフラとは経済用語としてのもので、道路、橋、通信、エネルギーなどを指します。

WN:Harper'sの記事では、二酸化炭素の排出、人間の活動に起因するる地球温暖化、環境について、一言も触れていませんね。環境問題の現実から、代替エネルギーの必要性があるとお考えですか? それとも経済や政治がこうした環境分野への出資を促進するのでしょうか?

Janszen氏:今後も大型車を運転できるようオイルサンド[日本語版編集部注:粘性の高い油分を含む砂岩]の採掘を続けていくと、どんな結果になるかを考えれば、そんな事態を防ぐためにできることなら何でもやろうというのが私の思いです。

第一にやらなければならないことは、環境の保全です。本物の政治的リーダーシップとは、短期的な利益よりも長期的な利益を優先して物事を決めることです。環境について考えるというのは、明らかに長期的な利益に関わることです。

WN:バブルを拡大せずに、代替エネルギーを推進するエネルギー政策を立てることは可能でしょうか?

Janszen氏:もちろんです。投機的なバブルに出資する構造全体を変える必要があるのです。そうすれば、本来果たすべき機能を果たす市場に回帰させることができます。資本もはるかにリスク回避的になるでしょう。

WN:バブルを引き起こすことなくクリーン技術への出資に必要な数兆ドルを捻出する初期の資金調達や信用創出の手段として、どのようなものを考えていますか?

Janszen氏:1つの方法は、石油に変動関税をかけ、価格を1バレルあたり200ドルか300ドル程度まで徐々に引き上げることです。少しずつ引き上げる限り、経済はそれに対応可能です。これこそ米国の経済システムの長所なのです。これまでも、20ドルから100ドルまでの上昇に、非常に落ち着いた対応をしてきました。経済は破綻していません。減速していることは確かですが、経済がボロボロになっているわけではないのです。経済を破綻させることなく、比較的痛みを和らげながらも、徐々に数多くの変化を遂げざるをえないようなプロセスを作り出すことは可能です。

WN:こうした移行の一環として、どんな種類のインフラが変化することになりますか?

Janszen氏:輸送システムです。資本集約的な大型の取り組みとなるのは高速鉄道です。成果を引き出すには、政府が積極的に関与してまとめていく必要があります。

また私は、政府から十分な資金を得られ、かつ民間企業のように株主に対する責任を負う、官民企業を提案しています。市場のメカニズムが働くため、計画が何年も遅れるとか、予算が数百億ドルも超過するとかいった事態にはなりません。

もう1つはエネルギー・インフラです。いまも石炭を大量に使う古いシステムが残っています。私が提案するのは原子力発電を増やすことですが、新しいペブルベッド炉を建設するというものです。

通信も改革の大きな要素です。高いレベルの目標が米国経済におけるエネルギー需要を抑制することなら、光ファイバー・ケーブルを各家庭に引くべきではないでしょうか? これにより、人々は通勤しなくても済むようになっていくでしょう。

構造改革は、包括的で、よく考えられた計画でなければなりません。なんとしてでも、エネルギーの使用を減らさなければならないのです。

(WIRED NEWSより)

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