何故、エンジェル投資家 鎌田氏が高萩氏に投資したのか

起業家 兼 エンジェル投資家(起業サポーター)鎌田富久氏

TomyK LTD. 代表・株式会社Moff取締役・鎌田富久/Tomihisa KAMADA 1961年生まれ。愛知県出身。東京大学大学院 理学系研究科情報科学 博士課程修了。理学博士。東京大学在学中に大学院の入学金と授業料を稼ごうと、プログラム技術を活かし、1984年、有限会社アクセス(現・株式会社ACCESS)を共同で設立。その後28年にわたり同社を牽引し、2001年に東証マザーズに上場。2011年、50歳を機に退任し、これまでの経験を活かし、スタートアップを支援するTomyKを2012年に設立。株式会社ACCESS共同創業者・前CEO。株式会社Moffの取締役にも就任し、共に『Moff Band』発売を迎える。

プラットフォームとしての『Moff Band』の可能性、社会人
経験、家族ありの高萩さんの可能性に「エンジェル投資」。

高萩さんと初めて会ったのは、昨年東京大学でやったピッチコンテスト。私も審査員の1人として参加していました。そこで『Moff Band』(の初期の試作品)も、初めて目にしました。本人たちは知らなかったと思いますが、『Moff Band』は審査員の間で賛否両論だったんです。

一見ちょっと面白いおもちゃで、「でも面白いだけ」という感じもある。最近のウェアラブルなガジェットって「Google Glass」とか、見た目もテクノロジーが詰まった感じで、値段も数万円するようなものが多いなか、『Moff Band』は、あえて見た目を軽いものにしてましたから。中身の難しさを前面に出さないっていうところが良かったんですけど、逆にそこが軽く見られる部分でもあったと思うんです。

「ちょっと面白いガジェット」として考えてしまえば、そこそこ取り上げられて、ある程度は売れるだろうという感じですが、そうではなくて、これは1つの「スタート」だと思ったんです。こういう新しい、動きを感知するデバイスに、動きに反応する音だったり、ある種普遍的な機能をいろいろくっつける。機能もこれからどんどんアップして行くでしょうし、これから「5年、10年かけてすごい進化をしていくスタート」なんだと考えたんです。

そういう視点で見ると、簡単じゃないですけれど、大きな変革を起こすプラットフォームになる可能性を秘めているなと感じました。その後も話を聞いて、「Kickstarter」に出して世界で勝負したいということだったので、じゃあ一緒にやろうと。ですので『Moff Band』に、いわゆるエンジェル投資をさせていただいたのは、1つは「プラットフォーム」としての可能性を感じたからです。

もう1つは、高萩さんの熱意ですね。スタートアップ(起業)する人で一番少ないのが、実は30代半ばから後半。この年代は、結婚して子どもも小さかったりして、リスクを取りづらい時期に入るんです。本当はベンチャーをやるといい、30代の優秀な人材が、ベンチャーをやっていない。最近ベンチャーが増えているといっても、一番出てこない世代なんです。そういう世代は、相当な思い切りがないとベンチャーなんてできないですし、いざやるからには、絶対頑張るに違いないと思いました。

高萩さんは社会人としての経験も豊かで、家族もできてという状況。それでもスタートアップをやりたいという熱い思いを感じて、これは応援しないといけないなって思ったんです。

「『投資』を受けるというのは、借金よりもある意味ちょっと厳しい。それは、会社の権利を一部持っていただくからです。会社があまり思ったように成長しないと、その会社の何パーセントかは「ベンチャーキャピタル」のものなので、社長を変えたり、事業ごと売却したりして回収するわけです。「ベンチャー投資」をしている人も、出資している人が後ろにいるので、通常5年とか、7年くらいでいったん返すというのが、一応のルールのようになっていますね。『エンジェル投資家』の場合は、利益を出すことが最大の目的ではなく、何らか事業で成功を収めた人が、自分の次の世代を応援する意味合いもあります」(鎌田氏・談)「『エンジェル投資家』を探しなさいって言われても、正直、誰がエンジェルなのか、わかりませんでした。誰ですかっていう感じですよ。でも、よくよく回って、いろいろ会える人が増えると、あの人が実はエンジェル投資をやっていたんだねということがあります。表には出てこないと思いますね」(高萩氏・談)

会社を興し28年。50歳になり、手伝いたいと思ったのが
時間を必要とする、世の中を大きく変えるイノベーション。

私自身が、学部在学中に、「有限会社アクセス(現・株式会社ACCESS)」を設立しました。当時ベンチャーを起業するという考えは、「普通の学生がまず考えない選択肢」でした。アルバイトの延長のような考えで始めた「ACCESS」も、気がつくと28年。とにかく全速力で走り続けたという感じで、50歳のときに退きました。

28年もやったし、自分のやってきたことを活かせる次のことってなんだろうって考えたんです。ちょうど会社を辞めた次の日かなんかに東大で講演をする機会があって、自分は学生のときに起業して、こんなことをやってきたということを「今の東大の学生は、少しは関心を示すだろうか」と思いながら、お話させてもらったんです。すると、けっこうベンチャーに興味のある学生が増えてきていて、皆さんすごく関心を持っている。東大のアントレプレナーを支援する体制も思った以上に進んでいると感じました。そこで、若い人たちのスタートアップを支援することで、自分の経験を活かして、新しいことができるんじゃないかと思って「TomyK Ltd.」を設立しました。現在、10社ほどを支援しています。スタートアップを起業するという選択肢を身近なものにできたらと思っています。

扱う分野は、まさに自分のやりたいテーマに絞っています。今まで自分がやってきたACCESSは、「すべてのものをネットにつなぐ」をテーマにしてやってきたんですが、それがもう広がってきている。1つはロボットだったり、『Moff Band』のような端末だったり、あらゆるものがインターネットにつながっていく、最近の流行り言葉でいえばIoT(Internet of Things)という分野ですよね。インターネットのつながる範囲は宇宙にも広がったので、人工衛星も支援したり。人間を支援するヘルスケア的なものだったり、家庭の中をコントロールするものだったり、IoTという意味では、未来を先取りするようなものばかりを選んでいます。

他にも「人工知能」とか「機械学習」。いろいろなものがつながった先には、知能の部分が重要になって行くので、そうしたベンチャーも支援しています。さらに突き詰めていくと、人間を、ユーザーをもっと理解できるようになる「ゲノム(遺伝情報解析)」のベンチャーも立ち上げ中です。インターネットを活用して、いろいろなものをつなげて便利にする、人間を支援するために「人間を理解する」分野ですね。

エンジェル投資に関しては、特に5年とか期限を区切って考えてはいません。やっぱり本気で世の中を大きく変えるイノベーションを起こすには、ある程度の期間、10年くらいはかかると思うんです。日本にはそういったイノベーションを起こす人が必要で、グローバルに成功する人が出てきてほしいと思っています。

(doda.jpより)

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 何故、エンジェル投資家 鎌田氏が高萩氏に投資したのか

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.angel-laboratory.com/blog/mt-tb.cgi/272

コメントする

このブログ記事について

このページは、が2016年12月 6日 02:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「「エンジェル投資家なしで、数千万円を資金調達」ホリエモンが“ベンチャー成功の新モデル”を紹介!」です。

次のブログ記事は「解決したい課題に取り組む経営者であれ。エンジェル投資家・加藤順彦が出資する企業の特徴とは? 」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。