はじめに「地域に適したエンジェル組織を作るためのガイドブック」
1996年から2003 年の間に、米国のエンジェル組織数は 10 程度から約 200 組織へと急速に増加した。増加の原因は、個人エンジェル投資家が他のエンジェル投資家と協力することに対して、よりよい投資決定、投機の拡大、共同出資を通じたより大規模な株式投資の実施、グループという社会的特性といった利点を見出したためである。こうしたグループのほとんどが、指導や手本とする成功例がない、または少ししかない中でゼロから組織立ち上げを行ってきた。関連情報へのニーズの増加に応えるため、将来のメンバー投資家、そしてそれら投資家が関わる地域に最も適したエンジェル投資家グループ設立に役立ててもらうことを狙いとし、本ガイドブックを作成した。本ガイドブックでは、エンジェル投資家グループの立ち上げと運営に関する実用的なアドバイス、ツール、成功例を紹介する。
グループの立ち上げは、どのような種類のグループであっても常に困難なものである。エンジェル投資家グループというグループ形態自体が比較的近年生まれたものであり、エンジェル投資家はその実態を公表しないことで有名であることからも、成功するエンジェル投資家グループの立ち上げは特に難しい。また、成功している組織の形態・構造が 1 つではなく、様々に存在することも混乱の元になっている。さらに、エンジェル投資家は通常アーリーステージにおいて投資し、投資収益は投資後数年ですぐに上がるとは限らないため、エンジェル投資家グループの成功は必ずしも投資収益率で測定できるわけではない。しかし、メンバーの維持、投資率、目標達成度、メンバーの満足度といった要因を使ってエンジェル投資家グループの成功を評価することができる。
変数や選択肢は無限に存在するが、それぞれのエンジェル投資家グループ、グループのメンバー、グループの地域に最適な構造を決定する上で役に立つ基本的な要因や判断点、質問が存在する。本ガイドブックは、最適な組織構造を決定するための意思決定プロセスに役立つものとなることを目指して、エンジェル投資家グループの組織構造や機能に関する例を挙げ、エンジェル投資家グループを設立する上で有利なスタートを切るのに必要不可欠となる文書やガイドラインなどを提供することを目的としたものである。
ただし、全てのグループに単一モデルが当てはまるわけではない。本ガイドブックで取り上げられた議論・質問・選択肢に目を通して、どのようなステップを取り、どのような点に留意すべきかについて結論に達した時には、組織の発展状況によっては、ここで取り上げるモデルがふさわしいとメンバーが感じないという理由で違うモデルを選択するということもあり得る。組織の成長必要性を認識して受け入れることは重要であり、組織の長期的な成功のためには、採用するモデル、目標、方向性を柔軟に調整することに前向きであることが重要である。
組織を管轄する連邦、州、地方自治体の規則・規定については、資格を持つ専門家に助言を求めていただきたい。どのような組織にとっても弁護士や会計士は非常に有益であり、エンジェル投資家グループの合法性や経済的価値を確認するための知識や背景を弁護士や会計士から学ぶことが望ましい
(「地域に適したエンジェル組織を作るためのガイドブック」より)
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