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宿泊予約サイトが好調な滑り出し
情報源:日経MJ(流通新聞) 2008.02.25【9面】
◆売上を増やしていくには、既存顧客に新たな商品を売るか、既存商品を新たな顧客層に売るかを考えてみるのが手っとり早い。一般的には、前者の方が取り組みやすいと言われる。
◆そこで、品揃えを増やしていくことを考える。顧客視点から言えば、ワンストップですべての商品が揃うのは魅力的だ。かくして「総合的な品揃え」を志向するようになる。
◆しかし現実には、うまくいかないケースは多い。今の時代、「総合」は「強み」ではなく「弱み」だとされたりもする。一つのカテゴリに特化した「専門店」に勝てないからだ。
◆既存顧客の他のニーズを取り込むような商品を提供すれば、売上を増やせるはず。品揃えの不足は、売上の機会損失に違いない。そう考えて品揃えを増やし、失敗する。
◆自社としては「新たな品揃え」だが、既にその商品を扱っている店は存在する。彼らにとっても顧客にとっても、全く「新た」ではない。「新たな品揃え」だと言っているのは、自分たちだけだということに、気づかなければならない。
◆25日付けの日経MJ(流通新聞)に、近畿日本鉄道が運営する沿線情報サイト「K’sPLAZA(ケーズプラザ)」についての記事が掲載されている。
◆このサイトのコンテンツ拡充の一環として、昨年3月に「近鉄沿線ぐるなびレストランガイド」を立ち上げたのに続き、「近鉄沿線宿泊e予約」を今月1日に開設し、「好調な滑り出しを見せている」という。
※K’sPLAZA → http://www.kintetsu.co.jp/
機会損失に見えるのは錯覚
●近鉄が運営するケーズプラザは、「沿線の観光情報サイト『伊勢・鳥羽・志摩』や『奈良大和路』を独自に作り、サイトの内容を徐々に拡充してきた」という。
●このような沿線情報は、電鉄会社ならではの競争力を発揮することのできる分野だ。さらにこのサイトでは、路線検索やチケットの予約もできる。これも、電鉄会社のサイトなら競争力が高いはずだ。
●しかし近鉄によれば、「路線を検索しにきた利用者が、『食事場所や宿泊先を調べるため別のサイトへ行ってしまう』」ことが問題として認識されていたという。先述したような「機会損失」を感じていたわけだ。
●「別のサイトへ行ってしまう」人たちを逃さないためには「食事場所や宿泊先」の情報も提供する必要がある。つまり、「新たな品揃え」だ。しかし、自前でそれを行なう愚は犯さなかった。
●食事場所については「ぐるなび」、宿泊先については「近畿日本ツーリスト」「楽天トラベル」と組んだ。そうすることで、「一からサイトを作る手間やコストを省ける利点があり、サービス開始当初から充実した情報の提供が可能になった」。
●品揃えを拡充し、総合化しても、特化した専門店に勝つのは容易ではないのだ。近鉄沿線情報のように、自社が勝てる部分は自前で行ない、他の部分については、最も魅力的な専門事業者と提携するのが賢明だ。
●品揃えの拡充も含め、異なる分野に進出する場合は、競争優位性を確保できるかどうかの見極めが非常に重要となる。優位性がなければ、機会損失と見えるのは「錯覚」に過ぎないのだ。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、品揃えの拡充や新商品・新規事業への進出にあたり、他社との比較優位性を十分に考えているだろうか。優位性がなければ、従来顧客に対する機会損失だと考えるのは錯覚に過ぎない。
(経営戦略考より)
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