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求人広告と人材紹介の組み合わせ商品
情報源:日経産業新聞 2008.02.18【15面】
◆これから起業しようとする人たちの相談に乗ることが多い。アイデアを具体的な商品に仕立て、ビジネスの仕組みを構築する。そうやって、キャッシュを確実に回収するまでの流れをつくる。
◆商品づくりにあたっては、価格をいくらにするかは、かなり頭を悩ませられる問題だ。その代金は前払いにすべきか、それとも後払いにすべきか。それもまた、頭をひねらなければならない。
◆起業する側は、商品やサービスを提供したにも関わらず、代金を回収できなかったらどうするのか、という不安を持っている。しかしそれ以上に、お金を払ったにも関わらず、なしのつぶてだったらどうしよう、と買い手は不安を抱いている。お互いさまだ。
◆とは言え、たいていの場合、前払いか後払いかは、売る商品の特性や業界慣習に則って決まっている。たとえばセミナーの受講料は前払いが一般的で、後払いというのは、あまり聞かない。
◆価格水準や支払い時期だけでなく、購入の数量や、他の商品との組み合わせでも考えてみる必要がある。たくさん買ったり、他の商品とセットにすれば、いくらかの割引があってもよい。
◆18日付けの日経産業新聞に、「求人サイト運営のリスは、求人広告と人材紹介を組み合わせた新しい人材サービスを始める」という記事が掲載されている。
◆「求人広告」と「人材紹介」をセットにした商品というわけだ。セットにするのだから、価格面でのメリットがあってよい。リスが提供するこのセットは、興味深い料金体系を持っている。
確実に価値を提供する仕組み
●リスは、「求人広告の出稿企業が広告掲載中に求める人材を採用できなかった際に、リスの人材紹介の利用料を大幅に割り引くほか、掲載期間の延長にも応じる」という。
●具体的には、求人広告を出して人材が採用できない場合、掲載期間を1ヶ月間延長できる。また、人材紹介サービスを利用して成約すれば、「実質的に紹介料金から広告料金が割り引かれる」。
●商品を売るには、買い手の負うリスクを、極力減らすのが効果的だ。広告料金が無駄になるというリスクを取り除くようにしたのが、この取り組みなわけだ。
●その分、売り手が無料掲載や料金割引のリスクを負うことになる。とは言え、ネット求人広告の掲載期間が延びても、原価率が大きく高まるわけではないし、広告料金の割引分は、人材紹介の販促費だと思えば、リスクとは言い難い。
●つまり、自社が負うリスクを高めることなく、相手方のリスクのみを引き下げるわけだから、Win-Win の良い施策だと言えるだろう。広告にするか人材紹介にするかに迷う求人企業にとっては、ありがたい。広告が不発であった場合、初めから人材紹介にすれば良かったと悔やまずに済む。
●料金設定のうまい仕組みではあるが、人材採用サービスのあり方という視点でも、この施策を眺める必要がある。広告であろうと人材紹介であろうと、人材採用に成功することが、そのビジネスが顧客に提供する価値だ。
●だから、求人広告と人材紹介とが一体となったサービスがあっても良い。リスによる両者の「組み合わせ」は、「人材採用の成功」にフォーカスしており、両者の差異は問題ではないとさえ言える。
●この施策を行なうことで、リスは広告掲載料金を値上げするという。「1カ月5万円だった料金を同10万-50万円の3コースに改定」するそうだ。
●値上げと値下げの組み合わせで、従来とおりの収益を確保する、といった矮小な話ではないと思いたい。総合的な人材採用サービスを提供するにあたり、確実に価値を提供する仕組みとしての施策なのだ。
■ 教訓 ■
あなたの企業では、顧客に提供している本質的な価値について、どのように認識しているだろうか。顧客がその価値を享受できないリスクがあるとすれば、それを極力、排することが必要だろう。そうでなければ、ビジネスとしての「あり方」に疑問符がつくことになる。
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