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生保営業職員の給与、固定給を厚く

情報源:日本経済新聞 2008.01.15【5面】

週末起業フォーラム主催の「コンサルタント養成講座」の講師を務めている。1990年からコンサルタント業界にいるので、今までに蓄積した知見を、出来る限り受講者に伝えようと思っている。

◆この講座での「よくある質問」として、コンサルティングの料金についてのものがある。いったい、いくらが適正なのか。一応、「相場」のようなものはあるが、その前に料金についての考え方をしっかりと持っておく必要がある。

◆基本的には、工数(所要時間数)×時間単価で設定するケースが多いだろう。但し、何をもって「所要時間数」とするのかは、議論が分かれるところであったりする。

◆一方、費用対効果で設定するという考え方もある。戦略コンサルティングは、戦術コンサルティングよりも高く設定できる。そうでなければおかしいと感じるのが一般的だろう。

◆「成果報酬にすべきでは?」という意見も出たりする。この方式では、「成果」の定義が明確かつ測定可能であることが前提条件となる。そのため、この方式で料金を請求できるコンサルティングは、かなり分野が限られる。

◆15日付けの日本経済新聞に、「明治安田生命保険は保険を販売する営業職員の給与制度を見直す」という記事が掲載されている。現在は「契約の獲得額に応じて支払う歩合給中心」だそうだが、一定の条件はつくものの、10月からは「固定給を厚くする」という。

コンサルティング成果報酬方式と同様、歩合制の給与の方が、一見、合理的に感じるかも知れない。しかし現実には、歩合制給与は「大量採用・大量脱落」という問題を生み、「保険金不払い」の温床になったと指摘している。


リスクをとらないリスク

●獲得金額に基づく歩合給制度では、既に計約している顧客のアフターサービスが行き届かなくなる。処遇が安定していなければ、離職が多くなるし、優秀な人材を確保することもできない。これでは、とても「合理的」とは言えない。

コンサルティング料金の成果報酬方式も同様だ。たとえば営業利益の増額分の何%を報酬とする、といった契約をしたとする。となれば、どんどんリストラをして、利益を出せばよい。新規事業への投資や新卒の採用など、とんでもない。

●しかしこれでは、短期的に利益が増えても、中長期的には破滅の道を歩むことになる。当然、あってはならないことだ。売上を増やすことについても同様で、利益を無視して安値で販売する方法くらい、すぐに考えつく。

●もちろん、このような施策を取ろうとするコンサルタントに反対しないクライアント企業の経営者はいないだろう。事前にルール決めくらいはするかも知れない。しかし抜け道は常にあるものだ。結局、このような方式での料金設定そのものに問題があるわけだ。

●また、成果報酬方式にすることで、コンサルタントは、より熱心に仕事に取り組むだろうと考えるのは早計だ。むしろ逆だ。成果を出すのが難しい、あるいは苦労すると判断すれば、一気に手を抜くだろう。

●成果が出なくても、料金をもらわなければ済むというだけの話だからだ。クライアント側も、成果が上がれば儲けものというくらいにしか考えていない。コンサルタントは実務を代行しないのが基本だ。実務を担うクライアントにやる気がなければ、成果など、上がるものではない。

●結局のところ、算定方式はともかくとして、コンサルティング料金は固定額にすべきだという話になる。コンサルタントは、これだけもらっているのだから、クライアントも、これだけ払っているのだからと、何としても成果を上げようと互いに努力する。それが健全な姿だろう。

成果報酬方式は、リスクを下げる策のように見えるが、結局のところ、何ら良い結果をもたらさなかったりするわけだ。ノーリスク・ノーリターンは、この場合にも通用する。

●生保営業の場合でも、歩合給制度にすることは、企業側にとっては、固定給のリスクを減らすメリットがあるように見える。しかし現実には、顧客サービスの低下や人材確保難といったリスクを伴う。サービスやそれを担う人材が競争力の源泉だとすれば、もはやその不合理さを許容できなくなる。


教訓

あなたの企業では、成果報酬や歩合制のような方式をとることで、リスクを軽減している気になってはいないだろうか。しかしその裏で、隠れたリスクを抱えることになっているかも知れない。それが競争力を高められない要因だとすれば、恐ろしいことだ。

(経営戦略考より)

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このページは、が2008年5月 7日 11:57に書いたブログ記事です。

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