ビジネス・ウエポン 生き残りたいサラリーマンのための発想術 (単行本) 大前 研一 (著)

大前研一氏最大のウエポンは、論理力と創造力。リストラが他人事でなくなった現在、リストラされない努力より、されても生きていける実力をつけてほしいと願う著者がその習得法を指南します。


【1】

21世紀を生きる日本のサラリーマンが修得すべきは、ビジネスの武器だ。具体的には「論理力」と創造力だ。だが今の日本では高級官僚もサラリーマンも世界に通用するウェポンを持たない。丸腰だ。

こう言うと日経を読んだりTVを見たりして勉強しているから経済のことはよく知っていると反論する人がいる。だがメディア情報を鵜呑みにして、経済や政治がわかったつもりになるのが一番危ない。

ニュースは素材に過ぎない。素材を集めて全体像についての判断をする能力を養わなければ、ビジネス遂行上の実力はつかない。

問題の本質や解決策は、日々の業務の中で考えるべきだ。さもなくば間違った知識で洗脳され、世界で通用しないサラリーマンになるだけだ。


【2】

サラリーマンにとって最強のビジネス・ウェポン論理力創造力だ。そのツールの一つが、問題解決法だ。しかし日本のサラリーマンでそれを身につけている人は極めて少ない。

これは名だたる企業の経営者達でも同じだ。日本の弱さは上層部に問題解決力が備わっていないことにあるのだ。

例えば、ロジカルシンキングでは、仮説を立て、それをデータに基づいて検証していく。しかし仮説を結論と思い込み、机上の空論を積み重ねる人がいる。推測に基づいて結論を出してしまうのだ。

なぜそうなるのか?理由は3つある。
・日本の企業には社内営業がるため会社の論理にはまっている。
・業界の常識にとらわれている。
・日ごろから社長の考えを推量して答えを出す癖がついている。

確かにトップが何から何まで言ってくれれば、それを考えずにやった方が楽だろう。だがビジネスではボスより真実の方が上位概念だ。


【3】

公開情報を真実と混同してしまう人もが多い。インターネットで調べるのはいいが、何を調べたら答えがわかるのかというアプローチを間違えているのだ。

そして誰かが「仕方がない」と言うと、みんながそれに同調する。破壊しよう、変革していこうという発想はどこからもでてこない。

ところが意見だけはたくさん持っている人が多い。だがその意見には、ロジカル・シンキングによるデータの裏づけや仮説の検証がない。というより新聞などの受け売りなのだ。

「みんなが言っているから」と言う理由だけで納得してはダメだ。「答えはこうだ」と自分が確信できるだけの証拠が出るまで、事実を調べ上げる。こうした単純な態度を続けるだけで、ビジネスウェポンは身につくものだ。


【4】

ところが、日本のサラリーマンは、そういうトレーニングをせず、常に直属の上司の顔色や、その上司と対立している別の上司の様子をうかがいながら、自分の立場を守ろうと立ち回ってきた。

そういう生活を10年、20年と続けているからそれが習い性になる。あとから入ってきた人たちも真似をするから、組織全体が変革や、新しいことをこわがる体質になっている。

すなわち「ヒラメの集団」になるのだ。社員がみんな上司の顔色ばかりうかがっているから、目が両方とも上についているヒラメなのだ。このヒラメの集団現象が、いまや日本の社会全体を覆っている。

ビジネス・ウェポンを持たず、戦闘の手法も順序も知らないから、錯覚に惑わされ、真実を明きらかにしないままずるずると付和雷同している。これでは激烈な世界競争の中で生き残れるはずがない。


【5】

戦後日本を作ってきた人たちは例外なく知的好奇心が旺盛だ。彼らはおおむね学問的知識が少ない。だから「なぜか」と質問を連発する。

自分は答えを持っていないという前提に立って真摯に質問する。こうして論理力創造力を磨いているのだ。

今の日本には情報が溢れている。また新聞やTVが説明してくれる。識者の解説までついてくる。結果みんなわかった気になって、思考停止状態になり知的に怠惰になっている。

そのせいで日本人全体の集団IQはずるずると低下し、真実からどんどん遠ざかっている。これから厳しい世界で戦っていかねばならない日本のサラリーマンはそれに流されたら絶対に生き残れない。


<コメント>

「リストラされない努力より、リストラされても生きていける実力をつけるべきだ」という「サラリーマン・サバイバルシリーズ」の第4弾です。

世界最強のコンサルティング会社『マッキンゼー&カンパニー』でNo.1コンサルタントとして活躍した大前研一氏最大の武器(ウエポン)は強力な論理力と創造力だそうです。

本書以外にも、今年は思考法の本がたくさん発刊されました。なかでもロジカル・シンキングは、ちょっとしたブームになりました。そのせいでしょうか?「仮説」という言葉もあちこちで聞くようになりました。

職場にも“にわかロジシン君”が増殖しています。ただ使うときはくれぐれも場を選びましょう。会議で連発すると嫌われます。この間も若い社員が経営者に「屁理屈をいうな!」と一喝されてました。

また、ロジシンだけでは問題は解決できません。まず日本の会社では、前提が上司の考え方とか、業界の慣習や前例だったりするからです。みなさんの会社にも「経営はこんな風に考えるはずだ」「社長はこんな風にお考えだ」などという口癖の人はいませんか?

それに、ロジシンでは解決策は見つかりません。解決策までロジカルに見つけることができたら、みんな答えが同じになってしまいます。

だからロジカルに考えて問題が明らかになったら、あとはロジシンを忘れて、自由な発想で、他が思いつかない選択肢をできるだけたくさん出すことが必要です。

本書もその辺は強調しています。ただ他のロジシン本のように思考の方法論の解説は期待してはいけません。それは書いていません。習得したければ彼のeラーニングを受けろというのが結論です。

もしお金をかけずに、本書の提唱する問題解決法を学びたければ、その原点である本、「企業参謀」を読んだらいいと思います。

日本のサラリーマンは、思考方法の訓練の機会はいくらでもあります。ただ方法を知らないだけです。だから「企業参謀」のような本で思考法を学んでおけば、すぐに身につくと思います。

(ビジネス選書&サマリーより)

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このページは、が2008年3月20日 03:51に書いたブログ記事です。

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