医療情報サイトが団塊世代向け雑誌を買収 > 顧客ターゲットの「別の顔」に着目する

医療情報サイトが団塊世代向け雑誌を買収

情報源:日本経済新聞 2007.12.18【15面】

◆日本をはじめとして、世界の多くの国家の権力は立法・行政・司法の「三権分立」のシステムで成り立っている。それに加えて、マスコミを「第4の権力」と呼ぶことがある。

◆その呼び方について、いろいろな意見があるだろうが、要はマスコミの影響力は、非常に大きいということだ。情報を伝える強大なメディアを好き放題に使えるとすれば、それは大きなパワーになる。

◆メディアを押さえることが極めて重要であることは、たとえば反体制派が革命を起こすなら、まずは放送局を占拠するという行動に出ることからもわかる。

◆革命を例に挙げると穏やかではないのだが、お金をかけずに起業する「週末起業」のノウハウでも、まずは専門性の高い情報を発信することを推奨している。

◆ブログやメルマガを立ち上げることは、自分自身のメディアを持つことを意味する。インターネットの発展のおかげで、それが可能になったわけだ。ブログやメルマガが多数の読者を集めれば、そのパワーは、自分のビジネスを立ち上げるのに有利に働く。

◆18日付けの日本経済新聞に、「医療情報サイト運営のソネット・エムスリーが出版事業に進出する」という記事が掲載されている。具体的には、「団塊世代向けのファッション雑誌『Z(ジー)』」を買収し、「エムスリー・パブリッシング」という子会社を設立する。

エムスリーは、サイトの会員として多くの医師を抱えている。そのうちの「50-60歳代の主に開業医の会員(約2万人)に『Z』を配布する」という。ウェブサイトというメディアを既に保有しているが、それに加えて雑誌メディアも手に入れるというわけだ。

雑誌「Z」
m3.com


顧客ターゲットの「別の顔」に着目する

●「」という雑誌は、元々「50-60歳代の男性をターゲットとした総合雑誌で、ファッション、文化、旅行などの記事が中心」だという。現在の「発行部数は25,000部」だ。特に「医療」との接点が深いわけではない。

●しかし、「50-60歳代の男性」であれば、医師であろうとなかろうと、「」の読者層だ。特に富裕層向けのテイストを持つ雑誌なので、医師との相性はよさそうだ。

●「医師」には「医療従事者」という面もあるが、「富裕層」という側面もある。記事は「エムスリーはサイトで医師をターゲットにした金融商品や不動産などの広告も掲載して」いると伝えている。

●「医師」という顧客ターゲットの、「別の顔」に着目することで、新たなビジネスチャンスをつかんでいるわけだ。そのような視点のシフトは、他のターゲットでも考えられる。

●たとえば「母親」だからと言って、育児にだけ関心があるわけではない。「主婦」や「美しくありたい女性」という「顔」もある。育児関連企業が持つ母親顧客リストは、育児用品以外の商品を売ることにも活用できる。

エムスリーの場合、「医師」すなわち「富裕層」をサイト会員として抱え込み、医療情報という商品を販売している。併せて「医師」「富裕層」向け商品の広告も販売している。

●広告収入は、質が一定であれば、メディアの規模に比例する。ウェサイト以外の「雑誌」というメディアを加えれば、規模の拡大につながる。そうすれば、広告収入も増大する。そしてもちろん、メディアの持つパワーを利用して、さらなる「会員獲得に活用する」。

エムスリーがメディアを増やすにあたり、医療系雑誌を買収することはしていない。顧客層の「別の顔」に着目し、それに適合するメディアを選択したという点が、興味深い。

●医療関係市場のほかに、「富裕層」としての巨大な市場にアクセスするルートが、さらに拡大していく。「別の顔」に着目すれば、事業の柱を増やし、太くしていく戦略を展開できるわけだ。


教訓

あなたの企業がターゲットとする顧客は、どのような「別の顔」を持っているだろうか。その「別の顔」に着目すれば、さらなる収益源を発見できるかも知れない。早速、検討してみよう。

(経営戦略考より)

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このページは、が2008年2月24日 06:44に書いたブログ記事です。

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