“ホメ殺し”時代に求められる失敗情報を収集するビジネス

“まずい!”というCMでの一声が強烈なインパクトを与えた青汁は、その後、健康食品として確固たる地位を築いた。“高いぞ、買うな!”と、お笑い芸人のはなわが歌っている「雪国もやし」は、普通のもやしより価格が倍以上であるにも関わらず好調に売れている。商品の欠点をメーカー自らが指摘した自虐的なCMに対して消費者の反応は好意的で、いまや「買え」ではなく「買うな」という“逆お薦め”が注目されるようになっている。裏を返すと、近頃ではやたらと“お薦め情報”ばかりが氾濫していることに対する消費者の不満や不信が、このような形として表れているのだろう。

ところがネット業界の話題になると、今年注目のトレンドは「リコメンド(お薦め情報)」と言われている。ソーシャルブックマークなどのWeb2.0ツールによって消費者のリコメンドに基づいたショッピングスタイルが形成されつつあり、そこでの企業の立場は「消費者にどれだけ好意的な推薦文を書いてもらうか」が重要な鍵を握る。前回紹介したように、消費者向けの報酬プログラムは花盛りで、その機能は飛躍的に進化し、ブロガーが商品の好意的な口コミ評を書くことで報酬が得られるプログラムは著しく普及していくことになりそうだ。

しかし純粋な消費者が求めているのは、そんなバイアスのかかったホメ殺しの情報ではなくて、その裏側にある「こんな商品は買ってはいけない」というアンリコメンドの情報である。出版業界では『買ってはいけない』とタイトルされた本がベストセラーになった。その後数々の批判も輩出したが、当の本が二百万部も売れたことは、消費者が「お薦め情報を信じていいの?」「本当のところはどうよ?」という思いの解消先を求めていることを物語っている。

そこで企業としては、“非お薦め(アンリコメンド)”の情報は隠蔽すべきものとの発想を捨てて、それをうまくプラスに活用することを考えておきたい。この商品にはこんな欠陥がある、消費者からこんなクレームが出ている、実はこんな危険性がある、この商品によってこんな事故があった等の欠陥情報、クレーム情報、安全/リスク情報、事故情報は、企業にとってマイナスでしかないと考えられてきた。だがそれも活用の仕方次第で、逆に効果的な販促の起爆剤にもなりうるのだ。

たとえ失敗の当事者でない企業であっても、その情報は「他山の石」として、自社製品の開発などに生かすことができる。会社経営や起業に失敗した人の話は皆こぞって聞きたがるもので、その「失敗談」を自分の商品にしている人もいるほどだ。つまり、情報ビジネスの世界ではアンリコメンドなネタほど有償のビジネスになりうる可能性が高い。そこで、本来ならば隠すべきアンリコメンドな情報をどうビジネスにしていくか、その手がかりを探ってみたい。

この記事の核となる項目

 ●蓄積されることで価値を生む失敗情報に対する商機
 ●ハインリヒの法則に基づく失敗データベースのコンセプト
 ●多様な苦情をデータベース化するビジネスモデル
 ●ウイルス対策会社のリサーチ力に学ぶ失敗情報の集め方
 ●コンピュータウイルス情報の収集経路について
 ●裁判所には頼らないトラブル解決代理人という新たな独占業務
 ●比較検討サービスの普及で変わるオンライン消費者の購買行動

(JNEWS.COMより)

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このページは、が2008年2月 7日 15:44に書いたブログ記事です。

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