起業の動機とパターン
独立・開業のきっかけ自体は何でも構わない。「自分の趣味や特技を活かしたい」「自分の経験を活かしたい」といったポジティブなものであれ、「会社勤めに嫌気がさした」といったネガティブなものであれ大した問題にはならない。しかし……。
『戦略不全の論理―慢性的な低収益の病からどう抜け出すか』(三品和広著)の中で著者は、起業家を「創業経営者」という名称で表現している。そしてこの「創業経営者」の起業の動機が形成される時期は「起業以前であることは明白」として、以下のように述べている。
普通の操業経営者に成長期のことを尋ねて返ってくる答えとは何かが本質的に違うことは確かである。早ければ小学生、遅くとも今の就職の時期までに、その後の人生で成し遂げる偉業の源流を見出すことができるのである。普通なら、友人との交わりに明け暮れ、社会性を身につける時期にである。
すなわち創業経営者とは、小学生から大学卒業ぐらいまでの間(普通の人が社会性を身につける時期)に常人とは異なるもの(こと)に没頭する環境に置かれていたことを意味している。
つまり独立・開業というピストルのトリガーを引いたのは社会に出てからでも、それ以前に強い起業動機が形成されていなければ「やぶからスティック(棒)」な起業になってしまうのだ。
起業には大別すると以下の5パターンがある。
のれん分け型
勤めていた会社から屋号や商標等の使用を認めてもらい事業を行う方法。商標等を共有しながら円満な形で独立することも指す。会社の分社化も該当する。ただし、運営方針、後継者争い、労働争議、等による敵対的な独立は「分裂」と呼ぶ。取引先も確保されており資金的にも安定するが、いつまでも元勤務先の「支配下」に置かれることもある。
スピンオフ型
ここでは勤務経験を生かして同じ分野で独立する方法。 広義には、既存の企業や組織(以下、便宜上「親会社」と呼ぶ)の一部を分離し、独立した別の企業や組織とすることを指し、スピンアウトも同義語として使われる。子会社化、分社化などとも呼ばれる場合もあるが、通常子会社よりスピンオフの方が親会社との関係が薄く、独立性が高い。 狭義には、親会社がその一部を分離し、親会社との関係が深い(株主が共通している、ブランドを継承または利用しているなど)別会社とすることをスピンオフとし、親会社の一部が親会社から分離し、親会社との関係が薄いか全くない別会社を興すことをスピンアウトとして区別する。
FC展開型
ロイヤリティを支払って経営ノウハウ・ブランド利用許可・商品供給などのサポートを受けて事業展開する方法。 一方が自己の商号・商標などを使用する権利、自己の開発した商品(サービスを含む)を提供する権利、営業上のノウハウなど(これらを総称してフランチャイズパッケージと呼ぶ)を提供し、これにより自己と同一のイメージ(ブランド)で営業を行わせ、他方が、これに対して対価(ロイヤリティ)を支払うことを約束するによって成り立つ事業契約である。
新規成長分野進出型
経験・知識はないが、市場の新規性・成長性を見込んで進出する方法。 医療・福祉関連分野業。生活関連分野業。情報通信関連分野業。新製造技術関連分野業。流通・物流関連分野業。環境関連分野業。ビジネス支援関連分野業。海洋関連分野業。バイオテクノロジー関連分野。都市環境整備関連分野。航空・宇宙関連分野。新エネルギー省エネ関連分野。人材関連分野。国際化関連分野。他・中小企業創造活動促進法に基づくもの。
独自型
独自の技術・商品・サービスを生かして起業する方法。 ブルーオーシャン戦略。
上記の中では『独自型』が最も理想的な起業パターンである。『独自型』こそが、(社会が要求しているにも関わらず)未だこの世に存在しない商品やサービスを提供することで、人々に満足を与えた上で一人勝ちできる唯一の方法といえよう。
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